がんの補完代替療法の中には、東洋医学的な施術や薬理学的療法のほかにも、様々なタイプの民間療法があります。薬に対する副作用が強い方や、自然な治療法を求める方などにピッタリな、アロマセラピーやホメオパシー、カイロプラクティックなどを紹介しましょう。特徴や効果についてまとめています。
アロマセラピーは、植物に由来する香りの強いエッセンシャルオイルを使ってマッサージなどを行う治療法。日本では、医学的な治療というよりは美容の分野で浸透していて、リラクゼーションやストレス解消の効果が高い美容法のひとつと言われています。
がん治療においては、患者さんのストレスを和らげ、痛みや苦痛を緩和するための補完的な役割を持っています。ストレスが免疫機能に影響を与えていることは知られていますから、医療機関で行われるがんの標準治療と併用して、精神的な苦痛を取り除く治療のひとつとして取り入れられているのです。
使われるオイルは、植物の花や茎、根、果皮などを水蒸気蒸留して抽出される揮発性の油です。中には、ティーツリーのように抗菌や抗微生物作用が確認されているものもあるそう。オイルを吸い込むことで中枢神経に働きかける作用と、皮膚に塗った時に浸透して体内に入る作用があり、不眠やむくみ、筋肉の緊張などの症状を和らげるのに有効だと言われています。
ホメオパシーは、約200年前にドイツで始まった自然治癒力を高める治療法。
別名“同種療法”とも呼ばれ、症状を引き起こす原因となるものを重ねて投与することで、症状を出しきってしまい、自らの治癒力を引き出すという治療法です。
原因物質を希釈して作るレメディという砂糖玉を体調に合わせて飲むことで、精神的な症状を含む様々な好転反応が現れますが、体が本来持つ免疫力や自然治癒力が強力に引き出されて、症状を緩和できると言われています。
がん治療に関する効果は実証されていませんが、標準治療を補完する民間療法として問入れる方も増えています。
ハンドマッサージによる手技療法の一種で、神経や骨格、筋肉のトラブルや歪みを分析し、取り除いていくことで体調を整える施術法。例えば、生活習慣などから生じてしまう骨格の歪みを調整することで、自然な代謝や治癒力を取り戻し、自ら健康になる力を引き出す治療法なのです。
さらに、カイロプラクティックの施術によって自律神経の調子を整えると、胃腸や循環器のトラブル改善にも効果があるそう。骨や筋肉の治療だけに限らず、神経や内臓の不調にも有効であるとされています。
まず、はっきりとわかっていることは、民間療法と言われるものでがんを治すことはほぼ出来ないということです。がんを治せないということは、転移も防ぐことができないという意味を持ちます。
民間療法は補完代替医療、または代替療法とも言われ、基本的にはどの方法も科学的根拠のない治療法です。中にはがんに効果的とされる物質を含むものを使用するものがありますが、少なくとも民間療法とされるもので、がんに対して有意に働く、つまりがんを小さくする、完治させるという事例はごくわずかであるか、一定の工程を経た上で生成された物質を使うなど、条件が整っているものに限られています。
民間療法でがんが消えた、小さくなったという情報はインターネットがない時代から書籍などで存在し、多くの体験者が存在するとされることも多くありますが、その多くは科学的な根拠がないものです。
「民間療法は全く効果がない」と断言はできませんが、効果があったとされる例は、その効果が民間療法によるものなのかまでははっきりと解明されていません。
そのため、現在は民間療法でがんの転移を防ぐというのは期待できず、がんの治療はあくまで医療機関で、西洋医学、または東洋医学に基づいて治療を受けるのが最善の選択です。
がんの民間療法は昔からたくさん存在しています。鍼灸やマッサージのように歴史の長いものから、野草を使用したもの、運動、食べ物やサプリメントを使用したもの、ある種の祈祷、またはカウンセリングによる心身に対するものまであります。基本的には、どの民間療法もがんを抑制する科学的根拠がありません。[注1]
しかし、中には論文や研究によって一定の効果を認めたものがあります。ただ、一定の効果と言ってもがんに直接効果を及ぼすものはなく、化学療法の副作用を抑えたり、がんによる症状を抑える効果といった、患者の生活の質や精神的な健康を維持するのに役立つという意味での効果です。[注2]
民間療法の効果については、アメリカのハーバード大学で行われた研究で、安全性と有効性を検証したデータが存在します。
がんの化学療法を行うと、多くの場合で副作用が現れます。代表的な副作用に吐き気がありますが、肺腺がんに用いられる事が多い服用するタイプの抗がん剤での治療を行う前に、吐き気の緩和を目的とした葉酸の服用を1週間程度前もって行い、科学療法の最中にも葉酸を服用し続けることがあります。
点滴対応の抗がん剤の中には副作用としてしゃっくりを起こすものがありますが、しゃっくりの対策として柿蔕と言われる柿のヘタを煎じたものが有効な場合があります。これらは、副作用の緩和と目的とした代替療法の1つです。また、痛みの抑制目的で鍼灸やマッサージなどが行われることもあります。
民間療法、または代替療法の中にも、がん治療やがんによる苦痛の緩和を目的として、医療に取り入られることもあり、民間療法のすべてが否定されているわけではありません。がんに対しての効果は無くとも、がんの治療をサポートする効果がある民間治療は確かに存在し、それは治療の一部として役立てられています。
民間療法は、がんに対する効果をすべて否定されているものではありません。効果があるという根拠があれば、それは医療として利用されることもあります。しかし、根拠がない民間療法に頼るのはとても危険です。根拠がない以上は単にオカルトでしかなく、がんの進行を許してしまう可能性があります。
また、民間療法の中には化学療法などの治療に悪影響を及ぼすものがあり、化学療法の効果を出にくくしたり、死亡するリスクが潜んでいることもあります。
がんの治療は医療機関で行うのが鉄則であり、民間療法だけで治療を試みるのは、大きなリスクを伴います。がんを治療するのなら、医療機関で適切な診察を受けた後、治療方法を医師と相談の上で行ってください。
もし、化学療法の副作用や、がんによる症状で苦痛を感じるときは医師に相談し、相乗の緩和策を求めてください。どうしても民間療法を取り入れたい場合は、必ず医師に相談をしてください。
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