肝臓がん

肝臓肝臓がんは、肝臓から発生する原発性肝臓がんと、他の臓器で発生したがんが転移する転移性肝臓がんという2種類があります。
肝臓は多くの血液が集まる臓器ですから、がん細胞も集まりやすく、他の臓器からのがんが転移しやすいと言えます。

このページでは、肝臓から発生した肝臓がんの詳細や、転移する場所などについて解説します。

肝臓がんから転移しやすい代表的な部位

転移しやすい場所[注1] 再発率[注1] 症状
リンパ節 34% 黄疸や腹水、しこりが出る 頻脈や呼吸困難、腹部膨満感、下痢、発熱などの症状が重なる[注2]
28% 1週間しても改善しない咳が出る 気管支を傷つけると血痰が出て、気管支が閉塞すると気管支炎が起こりやすい 肋骨や肋間神経に刺激を与えると、胸に痛みが出る 肺に水が溜まって肺が小さくなり、呼吸困難になる 大静脈が圧迫されると、血液の戻りが悪くなって首や顔が腫れる[注3]
17% 周囲の神経を圧迫して痛みが出る 骨折による痛みが起こる 脊椎に転移すると麻痺が起こる 骨が破壊された箇所からカルシウムが溶け出し、高カルシウム血症が生じる[注4]

肝臓がんの転移先に多いのはリンパ節、肺、骨

肝臓がんが転移する場合、リンパ管や血液を通ってほかの臓器や組織に転移します。そのため、リンパ節や血液を通してつながっている肺やリンパ節、骨といった部位によく見られるのが特徴です。[注5] 

>>がんの転移・再発を防ぐにはどのような治療を行うべき?転移・再発防止策を見る

肝臓がんの基礎知識と転移の特徴

肝臓を原発とするがんは、肝臓の細胞に起こる肝細胞がんと、胆管の細胞に起こる胆管細胞がんの2種類に分けられ、ほとんどのケースは肝細胞がんです。さらに、B型肝炎やC型肝炎との関連が深いと言われ、肝炎ウイルスに感染したことによって肝硬変などが起こり、そこからがんへと進行してしまうケースも多いそうです。

肝臓がんの初期は、あまり自覚症状が出ないことでも知られています。お腹の右上のあたりや背中に、重い感じと痛みがあったり、微熱や貧血が続いたりした場合は注意が必要で、症状が出てきたころには、がんが進行していることも。お腹の右上にしこりができ、黄疸が出たりしたら、かなり進行している可能性があります。

肝臓がんの治療は外科的な切除手術が基本で、合わせて化学療法や放射線治療などが行われます。切除手術をしても再発してしまう確率がとても高く、術後5年以内に再発する患者さんが8割にも上ると言われています。肝臓が原発のがんの場合、肝炎ウイルスが関連していることが多く、病巣を切除してもウイルスまで根絶できないことに再発の原因があります。

また、肝臓は、同じ臓器内で転移が起こりやすいことも特徴で、肝臓内の太い血管を移動して、肝臓のあちこちにがん細胞が転移を起こしてしまいます。

しかし、他の部位のがんに比べると、肝臓がんは他臓器に遠隔転移を起こすことが少ないと言われます。よほど進行して、がん細胞が血管まで到達してしまうと、肝臓内の門脈という血管から血流に乗ってがん細胞が全身に移動し、肺や胃、腎臓、脳などに転移する可能性もあるそうです。

肝臓がんから転移しやすい臓器とその症状、治療法について

肝臓がんが進行すると、肝臓にある門脈という大きな血管から全身に転移を起こしてしまうことがあります。特に多いのは、肺転移と骨転移、腎臓や副腎、胃、脾臓など。ほかのがんではよく転移が見られるリンパ節には、よほどがんが進行しない限りは転移しないという特徴もあります。

代表的な転移先である、肺と骨、副腎や腎臓への転移についてまとめてみましょう。

肝臓内転移

肝臓がんは、同じ臓器内で転移が起きる『肝内転移』しやすいがん。肝臓の中には、いくつも太い血管が通っているため、同じ臓器の中でがん細胞が移動しやすいことが原因です。

肝臓のあちこちにがん細胞が発生すると、急激に肝機能が落ち、黄疸や腹水が出ることがあります。全身の倦怠感や手足のむくみなども特徴です。[注6]

肝臓内転移の主な治療法

肝臓がんになってしまう方は、B型肝炎やC型肝炎などが原因の「慢性肝炎」や、肝臓が岩のように硬くなる「肝硬変」などの症状になっているケースが多く、治療を行っても再発する確率が高いです。
肝臓がんの治療では、肝臓を切除する「外科的治療」、腫瘍の中にエタノールを注入する「経皮的エタノール局注療法(PEI、またはPEIT)」、ラジオ波で腫瘍組織を凝固して腫瘍を焼ききる「ラジオ波焼灼療法」、カテーテルを足の付け根にある動脈に挿入し、動脈に抗がん剤を注入して腫瘍細胞を壊死させる「肝動脈化学塞栓(そくせん)療法」、がん細胞に放射線を照射する「放射線療法」などがあります。[注6]
症状が悪化してしまい、これらの治療法が行えない場合は、薬を飲む内服治療で生存期間を延長させることが可能です。

肺転移

門脈から血流に乗って肝臓を出たがん細胞は、一度心臓へ戻り、その後に全身へ送り出されます。気管支や肺に入った血流によって、肺にがん細胞が到達して転移を起こすのです。

肺に転移した場合、症状があまり出にくいと言われていますが、1週間以上続く咳や、血痰が出たら注意しましょう。胸の痛みや呼吸が苦しく感じる場合も肺転移が疑われます。[注3]

肺転移の主な治療法

肝臓がんが肺に転移した際は手術を行います。例えば、初めの頃に出来た肝臓がんが治癒、または休眠状態にあって身体の状態が良ければ、複数のがん細胞がある片側の肺に内視鏡を使った手術が行えます。
また、患者の健康状態が悪く、手術に耐えられないと予想されれば、抗がん剤などを使用する「全身化学療法」での治療が可能です。

腫瘍の大きさや数によって治療できないこともありますが、病院によっては放射線治療やラジオ波焼灼療法、マイクロ波を照射して腫瘍を凝固する「マイクロ波熱凝固療法」などの方法でも行っています。
腫瘍が複数あったり肥大している場合は、気管支にある動脈に抗がん剤を注入する「気管支動注法」や、リンパ球を大量に注入する「免疫療法」を行うこともあるようです。

しかし、こういった治療を行っても改善が見られず、生活に支障が出てしまうのであれば、酸素吸入器で呼吸困難を回避したり、咳止め薬で激しい咳をおさえたりして症状を緩和させる方法で対処します。[注7]

骨転移

肝臓がんが進行し遠隔転移が起こる場合、中等度の頻度で骨転移が見られます。骨への転移はCTによる画像診断で比較的簡単に見つけることができるそうです。

骨転移が起こるのは主に、胸椎や腰椎、骨盤などの体幹部分の骨で、これらに腫瘍があるとシビレや麻痺といった症状が起こります。少しの衝撃で骨折を起こしてしまった場合も、骨への転移の可能性があります。[注8]

骨転移の主な治療法

治療は、抗がん剤などの化学療法で行っていきますが、それでも効果が無かった場合に、放射線治療で対応します。放射線治療では、少ない照射量で10~15回ほどがん細胞に照射していきます。
放射線治療は、治療する時期が早過ぎると再び増えるおそれがあり、逆に遅い場合は麻痺や骨折の危険性が高まります。
骨転移はがんが再発しやすいので、定期的に通院して医師の診察を受ける必要があります。

そのほかの治療法としては、肝臓がんが治っていたり休眠状態の場合、余命が長いと診断された場合は、腫瘍を切除する外科的治療が用いられます。
骨転移の外科的治療では、治療した部位の骨を人工骨に置き換える処置が必要です。[注4]

肝臓がんの予防法は?

肝臓がんに限った事ではありませんが、がん全般においてできる限り予防に努めることが大切です。早期発見のために欠かせないのが検査受診だといえるでしょう。肝臓がんの原因については後ほど詳しくご紹介しますが、大きな原因は肝炎ウイルスの持続感染になります。

そのため、肝炎ウイルスに感染した場合にはできるだけ早期の段階でそれを発見し、がん化する前に治療を行うことが重要になるのです。例えば、B型慢性肝炎やC型慢性肝炎、肝硬変といった疾患が悪化することによって肝臓がんになるケースがあります。これは、慢性肝炎により炎症が起こることによって肝臓の繊維化が進むからです。

このような疾患に当てはまる場合は、より専門的な治療と予防を行っていかなければなりません。

こちらの肝癌診療ガイドラインでは各疾患からの肝発癌予防に関する予防法について紹介されています。[注9]

具体的に紹介すると次のような内容です。

B型慢性肝疾患から発生する肝発癌予防で推奨される治療法

HBV-DNA 陽性B型慢性肝炎・肝硬変の肝発癌予防に核酸アナログ製剤

C型慢性肝疾患から発生する肝発癌予防で推奨される治療法

C型慢性肝炎・代償性C型肝硬変患者の肝発癌予防にHCV排除を目的とした抗ウイルス療法

ウイルス性・非ウイルス性を問わず慢性肝疾患から発生する肝発癌予防で推奨される治療法

それほど強く推奨されるわけではないようですが、肝発癌リスクを減少させる可能性のあるコーヒーの摂取、肝細胞癌発症リスクを減少させる可能性のある多価不飽和脂肪酸の摂取などが紹介されています。

肝臓がんの原因は?

肝臓がんの原因について詳しくご紹介します。がんの中には発生要因が明らかになっていないものもありますが、肝臓がんの場合は肝炎ウイルスの持続感染であることが分かっているため、これに関する対策を取り入れていくことが重要です。

肝炎ウイルスに感染すると、炎症と再生が繰り返される状態になるのですが、これが長期間続いてしまうと遺伝子の突然変異が起こります。この突然変異が積み重なり、発生するのが肝臓がんです。

言い換えれば肝炎ウイルスに完成したばかりの段階ですぐに肝臓がんになるというよりも、その状態が長期にわたって継続した場合に肝臓がんに悪化するわけですね。肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなどの種類かあり、この中でB、Cの2種類が肝臓がんと深く関わっています。

大部分はC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染によって引き起こされるのですが、全体のうち約15%はB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染が関わっているとされているため、この2つの原因についてはよく押さえておきましょう。

生活習慣の中で気を付けておきたいこともあります。それがアルコールの取りすぎに関すること。日本人に発生している肝臓がんのほとんどは肝炎ウイルスの慢性感染が原因であるため、アルコールの問題は軽視しがちですが、アルコールは肝臓がんの発生と深い関わりを持っています。

こちらでも飲酒と肝臓がんの関係について紹介されています。[注10]

毎日お酒を飲んで一日の疲れを癒している方は多いでしょう。ですが、飲みすぎは体にとって毒になることがあるので十分に気を付けておきたいですね。適量は人によって異なりますが、泥酔するのは危険です。お酒を飲んだとしてもほろ酔い程度におさめておきましょう。

一般的には一日に飲む純アルコール量は約20グラムを限度とするのが理想的と言われています。これ以上飲みすぎるとほろ酔いとは言えない状態になる方も多いので気をつけておかなければなりません。

純アルコール量は「酒の量(ml)×度数または%/100×比重=純アルコール量(g)」で計算できるので、自分が飲んでいるお酒の場合は何ミリリットル飲めるのか計算してみましょう。

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