上顎がんにかんする基本情報を転移の話も含めてまとめています。
上顎がんは、初期に自覚症状が少なく、早期発見が難しいがんです。転移の傾向は少ないがんではありますが、可能性はゼロではないので確認しておきましょう。
上顎がんには2つの特徴があります。1つめは、鼻腔(びくう)が関係するケース。
鼻は鼻中隔(びちゅうかく)という仕切りで分けられています。その外側の左右に4つずつある空洞が副鼻腔(ふくびくう)です。副鼻腔のなかで一番大きい空洞が上顎の上のほうにあり、ここに悪性腫瘍ができると上顎洞がんとなります。
2つめのケースは上顎の歯肉にがんができること。この場合は口の病気と初期症状が同じようになります。骨の中にまで進行が進み、上顎にがんができたときと同じような症状になるため、こちらも上顎がんと名付けられました。
がんの転移は少なく、はじめから転移があるケースは15%以下です。他の頭顎部がんと比べて、顎部リンパ節転移は少ない傾向にあります。
胃がんや子宮がんなどに比べると少ない病気で、副鼻腔炎が減少しているため、この上顎がんも減ってきているようです。
上顎がんは、腫瘍が上顎でおさまっている間は自覚症状が現れにくく、症状が見つかるのが遅くなる傾向があるます。がんの進行とともに自覚症状が出てくるがんなのです。
進行の方向によりさまざまな種類の症状が出てきます。副鼻腔に炎症ができたときのように鼻から出血があったり、臭いのある鼻水が出たりするのが特徴。また、顎の前方に進行すると顔や頬が腫れるなどして痛みが出ることもあるでしょう。
がんの腫瘍が上方向に進行し目の周りの骨を破壊すると、眼球が出たり、物が二重に見えたりすることも。上顎の下方向に進行すると上顎が腫れたり歯が痛くなったりします。顎の後ろに進行することで、目の視力や頭痛が関係するケースもあるようです。
さらに、口を空けにくいといった症状が出ることもあり、自覚症状が現れたら早めに病院に行く必要があります。自覚症状が出る時にはがんが大きくなっている可能性があるからです。
「何となく体の調子が悪い」でやり過ごさず、納得のいく診断結果が得られるまで、できるだけ検査や診察を受けてください。
自覚症状をもとに病院を受診することになれば、視診だけでなく病理検査まで行なわれるでしょう。病理検査で分からない場合は上顎に穿刺する細胞診や歯肉の組織生検まで進むことも。さらにCTやMRIなどから、がんの範囲や転移などを見て進行度を確認していきます。
上顎がんの場合は、気づいたときにがんが進行しているケースが多く見られます。リンパに転移していなくてもステージⅢに進行している方も多いようです。しかし、ステージⅢと診断されたからといって、余命わずかなわけではありません。
ステージⅢと診断されても根気強く治療を受け、長く生きられている方もいます。
上顎がんと診断されたら、一刻も早く治療を受けることが大切です。診断結果に納得できず、悩んでいる場合は、セカンドオピニオンで別の病院を受診してみるのも1つの手段でしょう。
上顎がんの治療は難しいとされています。顎の治療には顔面が関係するため、治療には制限がかかるのです。発見も困難であり、骨に埋まっているため放射線治療の効果が出にくい、というデメリットもあります。
それを踏まえたうえで、治療の選択肢は主に3種類です。
まずは放射線などの化学療法を始める傾向にありますが、症状や進行度に基づいて外科手術も行います。がんが広範囲にわたっている場合、切除が必要となることもあるでしょう。顔面形態を損なわないためにも、必要に応じて自分自身の組織を移植することもあります。
また、手術後は一時的に上顎が欠けることもあります。顎義歯という入れ歯があるため、食事や会話などをすることは可能です。
上顎がんは進行しながら見つかることの多いがんですが、やはり早期発見を目指したいですよね。医療の発展により、外見や顎の機能を守る治療が考えられています。何か違和感を覚えたら、早めに病院で検査を受けることが大切です。
また、がんは再発するケースがあります。再発の有無を確認するためには、病理組織検査をすることが多いようです。再発した時も治療が必要ですが、再手術をすることは少ない傾向にあります。主に放射線治療や化学療法での治療になるでしょう。
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