乳がん

乳がんの検査乳がんは、主に女性の乳房にある乳腺から発生するがん。日本では40〜50代の女性に多く、年間4万人ほどが罹患していると言われています。

乳がんは発生した時点で転移が始まっていると言われるほど、転移しやすい性質を持っているため、検査や治療には細心の注意が必要。また、セルフチェックできる数少ないがんのひとつです。

そんな乳がんの基礎知識や転移について、まとめて解説しましょう。

乳がんの基礎知識と転移の特徴

乳がんは、乳房の乳腺部分にできる腫瘍で、乳腺の小葉部分にできるものを小葉がん、小葉をつなぐ乳管に発生するものを乳管がんと分類します。乳がんの9割近くは乳管がんだと言われています。

1ミリから1センチに成長するのに15年ほどかかるとされ、それほど進行が早いがんではありません。非浸潤性の腫瘍の場合、その部分だけを取り除いてしまえば完治も可能です。

しかし、比較的早い段階で乳腺の組織からがん細胞がこぼれ落ちることがあり、血液やリンパの流れに乗って運ばれて遠隔転移を起こすことも。乳がんは非常に転移しやすく、乳房だけに留まらず、全身性の病であるとも言われているのです。

乳がんが転移しやすい臓器とその症状、治療法について

全身に転移しやすいと言われる乳がんですが、主な転移先として挙げられるのは、リンパ節や肺、骨、肝臓などです。乳房近くのリンパ節や胸壁、皮膚などにがんが出来ることを「局所再発」と言い、肺や肝臓などの離れた場所に転移することを「遠隔転移」と言います。

乳がんの転移の特徴や症状についてまとめてみましょう。

リンパ節転移

乳がんが進行し、初めに転移すると言われているのが、脇の下のリンパ節です。ほかに、胸骨の内側にある内胸リンパ節に転移する場合もあります。

転移の検査は、超音波やCTで行われますが、確実に転移がないかどうかは、手術してみないと分かりません。

リンパ節転移の主な治療法

乳がんが見つかった場合は、転移や再発を予防するためにも、原発病巣と一緒に脇の下のリンパ節を切り取る「腋窩リンパ節郭清」という方法で治療を行っていきます。
また、手術後は抗がん剤やホルモン剤、放射線療法などを組み合わせて、再発予防に努めるのが一般的です。

肺転移

リンパ節の次に転移が多い箇所として、乳房と隣接する肺への転移が挙げられます。

乳がんの肺転移は「転移性肺がん」とも呼ばれています。

肺などの他臓器へ転移が見つかった場合は、がんが全身に広がっていると考えて切除手術などは行わず、全身治療を選択することが多いようです。

肺転移の主な治療法

肺転移は、原発である乳がんと同じ性質を持っているので、乳がんに使われる薬剤を用いて治療が行われます。

治療では、転移した部分のがんだけを切除しても他の場所に再発してしまいます。延命にはならないので外科的治療は行わず、ホルモン剤や抗がん剤などを使用しての全身療法をメインに行っていきます。

また、抗がん剤は副作用が強いので長期間は使えません。その代わりに、がん細胞の中にがんを増殖させる「ホルモン受容体陽性」が存在している患者には、ホルモン療法を優先して行います。
一方、ホルモン療法の効果が期待できない「ホルモン受容体陰性」がある患者には、抗がん剤を使って治療していきます。

骨転移

肺転移と並んで多いのが、骨転移。乳がんは頭蓋骨や頚椎、胸椎、胸骨、肋骨、腰椎、骨盤骨、手足の骨などへの転移が多いです。

骨への転移が起こると、骨を溶かしてもろくする溶骨型と細胞を増やしてしまう造骨型とに分かれます。骨折や痛み、麻痺やしびれなどの原因となるのは主に溶骨型の転移です。

これにより、骨が弱い衝撃にも耐えられなくなり、骨折してしまうことがあるのです。

骨転移の主な治療法

大腿骨や大腿骨の中央部や頚部にがんが転移した場合、骨折を防ぐため人工骨頭置換術や髄内釘を打ち込む治療を行うことがあります。
胸椎や腰椎への乳がん転移には、圧迫骨折する前に人工セメントを注入する方法で治療することもあります。

そのほかの治療法では、ホルモン療法、抗がん剤治療、放射線療法などが一般的です。特に、放射線療法には骨転移による痛みを緩和させたり、骨折を予防する効果があります。

また、ホルモン剤や抗がん剤と併用して「ビスホスホネート製剤」という薬を投与すると、骨折する頻度を減少させたり、疼痛を抑制させることが可能です。

乳がんの局所転移(局所再発)

乳がんの再発はいつ起こるかわかりません。例えば、30年後に局所再発したような例も報告されているのです。43歳のときに根治的な乳房切除術を受け、その方73歳になって病院を受診した際に触診を行ったところ、乳がんの局所再発と診断されたとのこと。[注0]

乳がんの局所転移(局所再発)とは?

局所転移とは、もともとがんが発生していた臓器または周辺に発生するもののことです。乳がんの場合、手術をした側の乳房内、または胸壁に発生したもの、他にもその周辺にある皮膚やリンパ節にがんが転移したり、再発した場合には局所転移・局所再発と判断されます。

局所再発がみられた場合の主な自覚症状といえば、皮膚の赤みや皮下のしこりです。過去に乳がんを経験したことがあるのならば、こういった変化がないか普段からしっかりと観察しておきましょう。

局所転移や局所再発が発生した場合、遠い場所に転移する遠隔転移とは違い、手術で対応できる可能性が高いです。そのため、基本的には外科手術から検討することになるでしょう。

状況に合わせて放射線治療も行い、根治を目指すことも可能です。

もともとの原発がん付近に発生している症状ということもあり、遠くに見つかった転移に比べると根治できる確率は高くなります。

ただし、以前に乳房温存手術を行っていた場合、残していた方の乳房に再発がみられた場合は乳房切除術を選択することになるでしょう。放射線療法のほかに薬物療法を行うこともあるため、具体的にどのような治療を行うことになるのかについては医師に良く確認しておかなければなりません。

乳がんの局所転移の危険度

局所転移であったとしても危険度が低いわけではありません。確かに遠隔転移に比べると治療の選択肢は多く残されていますが、特に前回治療を行ってからそれほど時間が経たないうちに再発をした場合、悪性度は高いといえるでしょう。具体的には、治療を行ってから2年以内に再発行した場合は悪性度が高い可能性についても考えておかなければならないでしょう。

できるだけ早期の段階で再発が見つかればそれだけ多くの治療の選択肢が用意されていますし、状態が悪化する前に治療を開始することができるため、定期的な検査と自己観察は非常に重要な意味を持っています。

また、胸壁全体が赤みを帯びるような症状が発生する炎症性乳がんのような再発については、がん細胞の悪性度が高いことが疑われるだけでなく、進行も早いケースが多いです。

症状によっては、現在がんが見つかっているのが局所転移・局所再発と呼ばれるように原発がんの付近のみだったとしても、がん細胞が全身に広がっている可能性についても疑わなければなりません。
詳細については症状を見ながら決めていくことになりますが、がん細胞が広がっている可能性が疑われる場合には薬物療法から取り入れることもあります。

原発がんとなる乳房にしこりのみが発見され、局所再発が疑われるようなケースもありますが、その場合も全身的な再発の症状の一つとしてしこりが現れている場合もあるため、再発の範囲がどこまでおよんでいるのかについても詳細な検査をしてみなければわかりません。

また、再発までの期間が長い場合、がんの悪性度はそれほど高くないと考えることもできます。この場合、積極的に治療を受け、根治を目指しましょう。がんに侵されている範囲が小さい場合には切除ができる可能性も高いです。もしも遠隔転移が疑われる場合、治療方針は大きく異なります。このケースはまずは薬物療法から行い、効果を期待することになるでしょう。抗がん剤治療のほか、ホルモン療法や分子標的治療などが行われます。

がんの再発や転移とたたかうには

がんに立ち向かう上で最も注意したい再発や転移。たとえ医師による適切な処置を受けていたとしても、再発・転移の可能性はあるということをわきまえておかなければなりません。

そのため、医療機関のみに頼るのではなく、私たちができる代替医療も率先しておこない「がんの予防線」を何重にも張り巡らせることが、がんと闘っていく上で極めて重要となってきます。

漢方や鍼灸、アロママッサージ、健康食品、サプリなど、様々な代替医療が存在する中で、「グルタチオンS-トランスファーゼ」をいかに活性化させるかが、がんの再発・転移予防のキーポイントとされています。

グルタチオンS-トランスファーゼとは、体内で働く解毒酵素のひとつ。この酵素が、発がん物質の無毒化に関与しているという研究[注1]があります。この酵素を活性化させる野菜として、わさびが注目を浴びています。

わさびに含まれる成分「ワサビスルフィニル(6-メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート)」は、このグルタチオンS-トランスファーゼを活性化させるとして、論文でも発表されました[注1]。

このほかにも、ワサビスルフィニルには、活性酸素を抑える[注2]、ピロリ菌などの増殖を抑制[注3]、血流の促進[注4]や血栓予防[注5]、といった様々な効果も。

また、がん細胞の増殖を抑制し、転移を防ぐといった効果も確認されているため、がんの再発・転移とたたかう方はもちろん、すでに転移してしまったという方にも、ぜひ摂取してほしい成分なのです。

アスパラギンが乳がんの転移に関わっている?

英国ケンブリッジ研究所によると、アミノ酸の1種であるアスパラギンの生成能力が高い人ほど乳がんの拡大が高まると報告しています。また乳がんだけではく、他の種類のがんでも、アスパラギンを生成する腫瘍細胞の増加と生存率の低下に関連性があるとしました。

研究では、L-アスパラギナーゼと言うアスパラギンの生成を遮断する薬をマウスに投与。その後、低アスパラギン食を与えたところ、乳がんの蔓延能力が低下するのを発見しました。

乳がんは骨や脳、肺といった別の臓器へがん細胞が拡がることで症状が悪化します。がん細胞はもとの腫瘍ではなく「循環腫瘍細胞」と呼ばれる細胞となり血液中を循環。循環腫瘍細胞となったがん細胞の拡大を防ぐことは、生存率をあげるために重要です。

アスパラギンとがんに関して研究をまだまだ重ねる必要があるため、短絡的に「アスパラギンを抜いた食事が良い」とは言い切れません。しかし、将来的に研究が進みがんの蔓延が予防できるようになるのを期待して、研究者らは研究を進めています。[注6][注7]

アスパラギンの研究が進んでいけば、乳がんに限らずさまざまながんに対して展望が見えてくるかもしれません。

参考にしたサイト・文献・脚注

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