転移すると怖い場所

椅子と花がん細胞は、進行すれば全身のあらゆるところへ転移する可能性があります。特に転移が集中しやすい場所があると同時に、1度転移を起こすと治療が難しくなったり、厄介な症状が出てしまう場所というのも存在します。

例えば、血管やリンパなど、そこから全身へとさらに転移が広がってしまうような要所。さらに、脳や骨など、日常生活に大きな支障をきたすような症状が出てしまう器官などは、転移を防ぎたい場所です。

できるだけ転移を起こさないよう、起きてしまっても早期に治療できるよう、定期的に検査を行っておくべき、要注意ポイントを解説しましょう。

血管やリンパへの転移

がん治療において、リンパ節と大きな血管への転移や浸潤は、常に意識しておかなければならない重要なポイント。このふたつへ腫瘍が入り込んでしまうと、全身にがん細胞が巡ってしまうことになるからです。

言うなれば、血管は全身の細胞へ酸素や栄養を運ぶ上水道のようなもの。リンパ管は全身の細胞から老廃物を排出する下水道です。この流れにがん細胞が乗ると、いつどんな場所に流れ着いて定着し、腫瘍が発生するのか全く予想できません。

例えば、乳がんと診断されて切除手術を行う場合、乳がんの原発巣と同時に、脇の下のリンパ節まで取り除いてしまうケースがあります。それは、リンパから脳などへの遠隔転移を防ぐ狙いがあるからです。

また、すい臓などのように、すぐ近くに大きな動脈やリンパ、神経などが多数通っている場所は、がんが発生すると初期の段階から遠隔転移を起こしやすく、病状が進みやすい傾向があります。

脳への転移

あらゆる種類のがんで亡くなった患者さんを病理解剖してみると、2〜4割には脳への転移が見つかるようです。特に肺がんと乳がんは、転移性の脳腫瘍を起こしやすいそうですが、その他の種類のがんでも、進行すると脳への転移が生じる可能性が非常に高くなります。

脳にがんが転移すると、頭痛やてんかん発作、麻痺やしびれなどが起こることがあり、2〜3割の人には、急に性格が変わったり物覚えが悪くなったりする、精神症状が現れます。大きくなった腫瘍が脳を圧迫することによる身体的または言語的な障害や麻痺、頭痛などの症状は、日常生活に少なからず影響をもたらします。

特に肺がんからの脳転移は、腫瘍が大きくなるスピードが速く、平均25日で倍の大きさにまで成長すると言われていますので、早急に発見し、摘出手術や放射線治療などを行う必要があります。

骨への転移

どのがんにも骨へ転移する可能性あるとされています。骨へ転移したがんを、転移性骨腫瘍と言い、特に骨転移を起こしやすいものは、骨髄腫や肺がん、乳がん、腎がん、前立腺がんなど。転移した初期にはそれほど症状はありませんが、腫瘍が大きくなって骨組織を圧迫すると、動かした時の強い痛みや安静時の持続する痛みが出て、少しの衝撃で骨折することもあります。

特に背骨に転移した場合は、腫瘍によって骨が潰れて圧迫骨折が起きたり、背骨近くの脊髄神経が圧迫されて、手足の麻痺やしびれが出ることも。骨への転移は、進行すると日常生活に大きく関わる障害が出やすいので、原発がんの治療と並行して対応します。

がんの転移とは

がんの転移とは、原発巣のがん細胞が血液やリンパの流れに乗って別の場所へ移動し、その場所でがん細胞が増殖すること。転移がなければ、がんは手術によって根治させることができると言われていますが、それほど転移は厄介なものなのです。

手術によって原発巣のがん細胞を取り除いたとしても、すでに血液などにがん細胞が入り込んでいた場合には、別の場所で転移性のがんが発症することもあります。

転移の経路

がん細胞の転移の経路には、血行性転移、リンパ性転移、播種性転移の3つのタイプがあります。それぞれの転移について、メカニズムを中心とした特徴を解説します。

血行性転移

血行性転移とは、静脈の流れに乗って遠く離れた場所にがん細胞が転移すること。 原発巣に宿っていたがん細胞が、近くにある静脈の壁を壊して血管内に侵入し、血液の流れに乗って別の場所へ移動。遠く離れた場所で血管の内壁を壊して外に出て、その場所で浸潤・増殖するといったメカニズムです。

静脈には概ね決まった経路があるので、転移先も予測しやすいとされています。原発巣が大腸の場合は肝臓へ、原発巣が胃の場合は肺への転移が多く見られます。 ただし、転移するがん細胞の性質によっては、転移先との親和性の問題もあることから、予想できない場所への転移が見られることもあります。

なお、血行性転移は抗がん剤がよく効くことでも知られています。多くの抗がん剤は水溶性(水に溶ける性質)のため、血液との相性が良いからです。

リンパ行性転移

リンパ性転移とは、リンパの流れに乗って別の場所へとがん細胞が転移すること。 原発巣の近くのリンパ管からがん細胞が管内部へと侵入し、リンパの流れに乗ってリンパ節まで到達。そこでがん細胞を増殖させつつ、次々に離れたリンパ節へと転移していくといったメカニズムです。

もともとリンパには、T細胞などの免疫機能が備わっています。そのためリンパ管内に異物が侵入したとしても速やかに撃退されることになるのですが、がん細胞の性質や患者の状態によっては、この免疫機能がうまく働かないことがあるとされています。

なお、リンパ性転移は抗がん剤が効きにくいと言われています。多くの抗がん剤は水溶性であるのに対し、リンパの体部分が脂だからです。その意味において、血行性転移に比べて治療が厄介な転移とされています。

播種性転移

播種性転移とは、種をまいたように点々とがん細胞が転移すること。 胸腔や腹腔などに面した臓器が原発となり、剥がれ落ちたがん細胞が隣接する胸腔や腹腔へ点々と拡大していく、といったメカニズムです。

播種性転移は、主に胃がんや肺がんで見られる転移です。胃がんが胃壁を壊して腹膜に広く播種性転移を起こすことを「腹膜播種」と言い、肺がんが胸膜を壊して胸膜表面に播種性転移を起こすことを「胸膜播種」と言います。

播種性転移は治療が難しいとされる種類の転移。一般的には抗がん剤での治療が行われますが、現状では根治を目的とした治療は難しいとされています。

肝臓への転移

がんの種類によってどこに転移するかは異なるのですが、肝臓の場合、ほぼすべてのがんが転移する可能性があります。肝臓は肺と同じくがんが転移しやすい臓器でもあるため、転移については十分に注意しておかなければなりません。

肝臓に転移する可能性が特に高いのは、大腸がんや胃がん、膵がんといった消化器系のがんに加え、乳がん、肺がん、頭頸部のがん、子宮や卵巣に発生した婦人科系のがん、腎がんなどが挙げられます。

この中でも特に可能性が高いのは大腸がんだといえるでしょう。

肝臓に転移する原因は原発巣の周囲の血管やリンパ管にがん細胞が入り込み、血液・リンパ液の流れに乗って広がったものが肝臓にたどり着くためです。ここで新たながん細胞の塊を作ることにより肝臓に転移し、肝臓に症状が発生します。

大腸がんとして発生していたものの、肝臓への転移が確認された場合、治療には手術を伴うケースが多いです。

治療の基本は肝切除、化学治療、外科治療と薬物治療との組み合わせ、肝臓の再生能力を活かした治療方針となっています。

できる限り予後を向上させるためになによりも重要になってくるのが早期発見です。早期の段階で転移巣を発見できれば治療の選択肢も広がるでしょう。ただ、肝臓にがん細胞が広がっていたとしてもなかなか症状が現れにくいといえます。つまり、何らかの症状を感じて病院を受診した場合、その時点でかなり症状が悪化している可能性があるということ。

異変を感じて受診した時には肝臓全体に転移しているケースも珍しくありません。 もしも肝転移が多発性だった場合、手術ではなく持続動注療法や全身化学療法を選択する可能性が高くなるでしょう。単発の肝転移であれば切除も可能です。切除ができればその後の向上についても期待できます[1]。

肺への転移

肺は肝臓以上にがん細胞の転移が起こりやすい臓器でもあります。例えば、国立がんセンター中央病院によると、大腸がん単発の肺転移が起きた場合、肺転移の切除後10年生存率は47%に達したとのこと。そのため、昔から積極的な外科治療が行われてきました。 そもそもなぜ肺に転移するのかというと、大きな原因として挙げられるのがリンパ行性の転移、経管腔性の転移、血行性の転移です。様々な経路によってがん細胞が肺に入り、そこで増殖することによって転移を引き起こします。

治療については、現在、肺がんがどのような状態であるのかによって変わってくるでしょう。例えば、原発がしっかりとコントロールされており、肺に転移があるもののそれがわずかな状況であれば、局所療法で高い効果が期待できます。

ただし、手術に耐えられる体力があるなどの条件も関わってくるでしょう。これは肺転移の治療に関することだけでなく、すべての手術において言えることです。また、肺以外の臓器に遠隔転移がないことも切除の適用基準とされています。これに加え、一肺側肺に限局していることも切除の適用基準です。

この「肺側肺に限局していること」といった条件についてですが、近年は医療関連の技術も進み、両肺の同時切除が不可能ではなくなりました。そのため、絶対条件とはならないでしょう。

仮に両肺に転移が確認されていたとしても、すべての肺転移巣が完全に切除可能であれば切除が検討されることもあり、実際に多くの治療報告もされています[2]。

肺と言えば、呼吸するのに欠かせない役割を持っており、胸の左右にあります。なぜ肺はがん細胞が転移しやすいのかというと、がん細胞の多くが肺を通過するからです。

がんにかかったことがない方が肺がんを発症した場合、原発性である可能性が高いのですが、他のがんの治療を以前に行った事があり、その後に肺にがんが確認されたからといって必ずしも転移性肺がんとは限りません。判定には胸腔鏡や開胸手術が行われることもあり、結果に応じて治療を進めていくことになります。

【参考URL】

参考[1]:『転移性肝癌の画像診断』角谷眞澄
http://www.jsgs.or.jp/cgi-html/edudb/pdf/20071095.pdf

参考[2]:『転移性肺癌の外科治療』国立がんセンター中央病院外科 近藤 晴彦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ringe1963/58/3/58_3_495/_pdf

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