転移の予防はできるのか

椅子と花がんという病気に転移や再発はつきものですが、早いうちに手を打てば転移せずに完治することも十分に可能です。転移や再発を防ぐために、どのような治療を行うべきなのか、3つの観点からまとめてみました。

詳しくは『治療中・予後観察中の方へ』のページで解説しますので、こちらも参考になさってください。

病院で行う標準治療としての転移・再発防止策

がんの転移や再発が起きているかどうかは、腫瘍がある程度まで大きくなってからでなければ確認できません。原発巣の切除の際にすべての腫瘍を取り切って完治したと思っていても、目に見えない微小ながんは残っていて、数か月または数年後に再び悪さを始めるわけです。

そこで、転移を起こしやすい種類のがんや、ステージが進行しているがんの場合は、腫瘍の切除手術を行った直後から、抗がん剤による化学療法や放射線治療を行います。全身に散らばっているかもしれない小さながん細胞を、大きな腫瘍になる前に死滅させてしまおう、というもので、中には手術中から放射線照射を行う治療法もあります。

それらの再発予防治療の期間は、がんの種類や治療の経過によっても異なりますが、およそ半年から長くて5年ほど。例えば、大腸がんなどの術後に行う化学療法の場合は半年から1年くらい、乳がんのホルモン療法などは5年以上行うこともあるそうです。[注1]

転移・再発がんの標準治療の種類

化学療法(抗がん剤治療)

がん細胞の増殖を直接的・間接的に抑制するための薬物を使った治療法です。抗がん剤治療は、薬剤を点滴や内服で体の中に行き渡らせることで、全身への効果が期待できます。ただし、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージをもたらすため、がん細胞を全滅させられる量の抗がん剤の使用は患者さんの生命を危険にさらすのです。このため、抗がん剤治療の多くはがんの根治ではなく、がんの進行の抑制が目標となります。

抗がん剤治療の中には、化学療法・ホルモン療法(内分泌療法)・分子標的治療が含まれています。これらの治療法を単独または併用療法として使い分けているのです。近ごろは新しい抗がん剤の開発も進んでいます。その抗がん剤の臨床試験への参加も含めて担当医とよく相談し、治療方法を決めることが大切です。

また、抗がん剤にはさまざまな薬剤がありますが、がんの種類やがんの質によって効果のあらわれるものは異なります。抗がん剤治療は、標準治療として設定されている薬剤や投与方法で実施しなくてはなりません。しかし、実際に抗がん剤を使う場合は、耐えられる体力があるかどうかで使用する抗がん剤が限られます。同じ抗がん剤を繰り返し使っていると、薬に対する抵抗ができて効かない、または効きにくくなる(薬剤耐性)ことも。そうなると、薬を変える必要が出てきます。

抗がん剤治療には、副作用を生じる可能性があります。吐き気・嘔吐・口内炎・手足のしびれ・痛み・抑うつ状態・不快感・疲労感・脱毛・骨髄抑制などが主な副作用の症状です。これらの副作用がどのようにあらわれるかは、抗がん剤の種類によっても異なります。多くは一時的なもので、防止や軽減のための処置が可能です。しかし、しびれのような神経障害は長く続く恐れがあり、時間が経ってもなかなか消えない場合もあります。[注1]

放射線治療

放射線治療は、DNAに直接働きかけて細胞分裂の能力を失わせたり、細胞が自ら死滅する過程を強めたりしてがん細胞を減らします。この働きは細胞分裂が盛んな部位への影響が大きいため、細胞分裂の盛んながん細胞に大きな影響を与えられます。この治療法は、放射線をあてた部位だけに効果があらわれる局所療法のひとつです。そのため、全身にがん細胞が広がっている場合、がんの根治は期待できません。局所転移や遠隔転移がある場合は、痛みや症状を和らげる目的で選択される治療法です。

放射線治療が手術と異なるところは臓器を摘出しなくてよく、そのまま温存できること。そのため、体の負担が比較的少ない治療法です。高齢者や糖尿病・心臓病などの合併疾患、体力がなくて手術が受けられない場合でも選択できます。全身にがんが転移した人には、病巣を縮小させて痛みや神経症状を緩和できる治療として有効です。ただし、放射線をあてた部位に副作用が出るため、原則として同じ部位に2度の照射はできません。

副作用の症状は、放射線をあてた部分の皮膚の軽い日焼け・疲労感・食欲不振など。一過性である場合がほとんどですが、照射後に時間が経ってからあらわれる副作用もあります。[注1]

手術

転移・再発がんに対しては原発がんの治療とは異なり、がんの切除を目標とする手術ができる場合は限られます。手術の多くは、がんによる症状を和らげるために行われます。

転移・再発がんの症状を和らげる手術の種類には、消化管のバイパス術・人工肛門造設術・椎弓切除術・気管切開術などがあります。消化管のバイパス術は、腫瘍が消化管をふさぐために起こる食物の通過障害を取り除く手術です。椎弓切除術は、転移した腫瘍に脊髄神経が圧迫されて生じる下肢のまひやしびれ、痛みを解消するために行われます。

手術の部位・範囲によって、起こる合併症や後遺症、その対応方法は異なります。全身麻酔では、肺炎・手術に伴う出血・傷口からの感染といった合併症を起こす場合があります。器官や組織を切除したことで、後遺症が生じる可能性も考えておかなくてはなりません。[注1]

代替医療や漢方、健康食品でできる転移防止策

保険適用となる標準治療以外にも、がんの転移や再発を防止するために行う治療はいくつかあります。

例えば、漢方や鍼灸などの東洋医学の考え方に基づいた治療法があります。

東洋医学は、血流やリンパの流れなどを整えたり体を温めたりして、自らの免疫力や自然治癒力を高めることを目的とした全身治療が基本。がんという病気もひとつの腫瘍だけに注目せず、あらゆる場所に転移する可能性がある全身の病であると考えて、体内環境を整えることで転移や再発を防止しようというわけです。

また、がんワクチンや活性化させた免疫細胞を投与する免疫療法なども、本来持つ免疫力を強化することで微細ながん細胞を死滅させてしまう方法として有効であるとされています。

さらに、抗がん剤などの治療効果を高めたり、がんに打ち勝つ力をつける方法として、免疫力を強化する働きや解毒作用などの働きを持つ食品(成分)を摂取する方法も注目されています。[注2]

身近な食品「わさび」が注目されています

がんの転移を防ぐために有効な成分の1つとして注目されているのがわさびスルフィニルです。わさびスルフィニルは名前通り食材のわさびに多く含まれ、正式名称は「6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)」といいます。

>>がんの代替医療の最前線・注目の成分ワサビスルフィニルとは?

日本における大病として代表的ながんは、もともと活性酸素が過剰に分泌されることで起こる病気。できてしまったがんは、手術で摘出をしたり、抗がん剤を投与したりすることで治療をするのが一般的。

ですが、細胞の残留・活発化によって、他の健常な臓器に転移してしまう厄介な特性を持つのががんの特徴です。わさびスルフィニルはがんの原因である活性酸素の発生を抑制する作用を持ちつつ、さらに発生してしまったがんにも大きな抑制効果を発揮することがわかっています。抗がん剤よりもがん細胞の増殖抑制作用に優れ、発がん物質の無毒化・自滅(アポトーシス)作用が期待できます。

この作用はブロッコリーやクレソンなどの植物でも認められますが、わさびスルフィニルにはさらにがん転移を抑制する作用も。食品・植物で転移抑制作用が認められた例が少ないことから、わさびは日常で摂れる健康食品として、がん予防・活動の抑制、さらに転移を予防する効果が期待できる優れた食品として注目を集めているのです。[注3]

[注3]『ワサビのすべて 日本古来の香辛料を科学する』木苗直秀・小島操・古郡三千代(2006年 学会出版センター)

日常生活でできる転移防止策

がんが発生する要因として、加齢や遺伝的なものもちろんですが、喫煙や運動不足などの生活習慣も深くかかわっていると考えられています。

脂っこいものや塩分の濃いものなどが多い食事、喫煙、飲酒、運動不足、ストレスなど日常生活における悪習慣が、がん細胞を発生させ活性化してしまうそうです。

外科治療や化学療法、放射線治療で腫瘍を無事にすべて取り除いたとしても、がん発生の要因となりそうな悪習慣を改善しなければ意味がありません。がんを転移&再発させないために、日常生活の改善から取り掛かりましょう。

がん代替医療ガイドラインから見る健康食品の利用状況

2008年に日本緩和医療学会が出したがん代替医療ガイドラインによると、補完代替医療には代替医学や心身医学療法などさまざまなものがあります。漢方や鍼灸を中心とした東洋医学をはじめ、アーユルヴェーダ・瞑想・音楽・ハーブ・健康食品・マッサージ・気功などです。2001~2002年に行われた全国アンケート調査では、がん患者の45%が補完代替医療を活用しており、そのうちの9割が健康食品だったとのこと。特に転移・再発に不安を抱えている患者や女性、若年者などが利用しています。

健康食品に用いられているのがサメ軟骨・アガリクス・AHCC・メシマコブ・プロポリスといった食材です。これらの健康食品のうち、アガリクスで「吐き気が少なくなった」「体を休ませる必要がなくなった」などのQOL(生活の質)の向上が認められています。その一方で肝炎や皮膚炎といった副作用が出たという報告もあり、推奨度は高くありません。

それでも健康食品への関心は、一般消費者はもちろん医療従事者の間でも高まっています。医薬品との相互作用のデータベースづくりや、個々の製品に含まれる成分の詳細な情報の開示が期待されるところです。[注4]

ことり詳しくは「補完代替医療でできること」のページで紹介しています>>

ワサビスルフィニルの効果

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