温熱療法(ハイパーサーミア)

ひまわり温まりやすく熱に弱い性質を持つがん細胞。その性質を利用して、電磁波でがん細胞だけを加熱し死滅させる治療法として注目を集めているのがハイパーサーミア(温熱療法)です。ここでは、ハイパーサーミアの特徴やメカニズムを解説。メリット・デメリットについてもまとめています。

ハイパーサーミアとは

ハイパーサーミアとは温熱療法のこと。がん細胞が正常な細胞と比較して熱に弱いことを利用して、電磁波でがん細胞だけを選択的に加熱し破壊する治療方法です。従来の手術や放射線治療、薬物療法といった標準治療と組み合わせることで治療効果を高めるとして注目を浴びるようになりました。現在ハイパーサーミアは、集学的治療の一環として位置づけられています。

ハイパーサーミアは補助療法として用いられることが多い治療法ですが、手術で切除できない症例や放射線、化学療法で治癒が望めない症例などにも適応できます。また、治癒できない進行がんや再発がんにおいても、ハイパーサーミアによって腫瘍の縮小や延命効果が得られることが分かっています

さらに、がんによる痛みを緩和する効果が証明されており、患者のQOL(生活の質)を改善する治療法としても有用だとされているのです。[注1]

  • [注1]『がんが再発・転移したときにまず読む本―痛み対策・緩和医療・終末期のケアがよくわかる (名医の最新治療) 』石谷邦彦(2009年 主婦の友社)

ハイパーサーミアのメカニズム

がん細胞は正常な細胞に比べて熱に弱いという性質を持っています。正常な細胞の場合約46℃までなら生き続けることが可能ですが、がん細胞は42.5℃以上の熱を加えると死滅するのです。[注1]

また、正常な細胞より温度が上がりやすいのもがん細胞の特徴の一つ。正常な細胞と同じように加温しても、がん細胞は約1~2℃温度が上昇することが分かっています。正常な細胞は加温すると周りの血管が拡張し、血流量が増加することによって余分な熱を放出します。しかし、がん細胞は血管を拡張できません。そのためハイパーサーミア療法で加温すると、熱が放出できずがん細胞だけが温められ破壊されます。[注2]

ハイパーサーミアのメリットとデメリット

ハイパーサーミアのメリットは、二次発がんの危険性が少ないこと。また、標準治療と組み合わせることで相乗効果が期待できます。治療費用に関しても一部健康保険が適用されるので、自己負担額を抑えることも可能です。

一方、デメリットは治療そのものによる身体への負担があげられます。治療では全身または局所的に熱を加え続けるため、体温が上がり大量の汗をかくことも。それにより熱中症を引き起こすおそれがあるのです。また、体温の上昇で筋肉のこわばりや全身に倦怠感が残る場合があります。ごくまれに、治療箇所の皮膚に熱傷ができる、または皮下脂肪が硬くなるなどの副作用が現れることもあります。[注2]

がん転移に対する温熱療法(ハイパーサーミア)の効果

温熱療法(ハイパーサーミア)の特徴

温熱療法(ハイパーサーミア)は浅い部分から深い部分にまで、病巣の深さに合わせた治療のサポートを行うことができます。脳と眼球以外には適用が可能ですので、体の様々な部位にあるがんにアプローチしていくことができるという特徴もあります。

局所治療となり、部分的な負担はあったとしても全身への負担は少なく、外来で温熱療法(ハイパーサーミア)を受けることが可能です。温熱療法(ハイパーサーミア)を受けることによる体への負担としては、上記のデメリットで紹介した以外の副作用については報告されていません。

熱中症、倦怠感、熱傷などの症状が見られるケースもありますが一時的なものであり、その後のがんの進行に関わるような問題は見られていません。

温熱療法(ハイパーサーミア)の方法

まずは温熱療法(ハイパーサーミア)が可能かどうか、適切かどうかをしっかり判断する必要があります。紹介状を書いてもらうにしろ、問診、診察を受けるにしろ、医師ときちんと相談して決めることが大切です。また、この際に他の治療法との組み合わせについても検討していきます。

治療内容によっては追加で検査を行うというケースも。治療が可能と判断された場合は、その後治療のスケジュールを立てていきます。スパンは個人や病院によって変動しますが、1週間に1度、1時間程度で行うというケースが多いようです。

何度受けるか、どれくらいの期間になるかは個人によってかなりバラつきがあるようです。すべての工程を終えたあとは、最終的に効果の確認を行います。CT、MRI、PET-CTなど、様々な検査によって効果が現れたかどうかをチェックします。

これまでに温熱療法(ハイパーサーミア)が有効だった症例

温熱療法(ハイパーサーミア)は、様々なサイト、ブログなどで「効果があった!」とするクチコミが寄せられていますが、発表学会名、論文名などが記載されていないクチコミ、症例に対しては疑問を抱いておいた方がいいでしょう。

ステージⅣ以上のがんの場合、どのような治療法であっても有効率が50%を超えるケースは少ないです。個々の症例、他の治療法などもよくチェックした上で、その療法が本当に効果があったのか見極める必要があります。数ある症例の中から、実際に学会発表、また論文掲載されたものの一部をご紹介いたします。[注3]

  • 膵癌手術不可・多発転移。免疫チェックポイント抗体 使用
  • 脳悪性リンパ腫、術後再発。免疫チェックポイント抗体 使用
  • 肺癌、ステージ4。免疫チェックポイント抗体 使用
  • 膵癌手術後再発、腹腔内播種
  • StageⅣ膵癌手術後多発再発
  • 虫垂癌腹腔内播種
  • 大腸癌手術後多発再発
  • 大腸癌術後再発、多発肝転移
  • 直腸癌術後再発。多発転移、抗生物質耐性腹腔内膿瘍
  • 胃癌再発
  • 胃癌腹膜播種
  • 食道癌 腹部リンパ節転移
  • 肝細胞癌多発
  • 子宮頚癌術後多発再発
  • 卵巣癌術後再発
  • 乳癌
  • 乳癌術後多発再発
  • 乳癌術後再発 癌性胸膜炎
  • 肺癌進行症例
  • 前立腺癌多発再発
  • 甲状腺癌術後再々発
  • 口腔癌術後再発 癌性心膜炎
  • 顔面悪性腫瘍
  • 原発不明癌による骨盤転移例

温熱療法(ハイパーサーミア)と併用可能な治療方法

温熱療法(ハイパーサーミア)は、それ単独ではあまり効果が期待できないと思われていた時期もありました。

しかし、近年は温熱療法(ハイパーサーミア)によってがんにアプローチした上で、これまで行っていたような療法を併用するという方法が注目されています。

手術、化学療法、放射線治療、免疫細胞療法といった4つの点から温熱療法(ハイパーサーミア)がどのように効果を与えているのかを見てみましょう。

手術

温熱療法(ハイパーサーミア)で手術前に腫瘍を小さくすることができます。これによって、手術時の体の負担を軽減することができたり、機能の温存、また手術のQOLの向上が期待されます。

化学療法

薬剤の投与などの化学療法は、がん治療としてはかなり一般的な療法ですね。温熱療法(ハイパーサーミア)によってがん細胞内への薬剤の取り込み量を増やすことができれば、さらにその薬剤による効果を高めていくことが期待できます。

放射線療法

温熱療法(ハイパーサーミア)は、当初放射線療法の効果を高めるために考案されたものです。そのため、当然ですが放射線療法には高い効果が期待できます。

また、放射線療法だけでは効果が薄いと考えられるがんに対しても、温熱療法(ハイパーサーミア)を併用することで効果の増大を期待することができます。

免疫細胞療法

温熱療法(ハイパーサーミア)を行うことで、免疫機能が働きやすい環境を体内で整えることができます。免疫が下がってしまった体内では、本来排除されるはずのがんも成長してしまいます。

温熱療法(ハイパーサーミア)で免疫を正常に戻し、治療していない部位にがんが転移することを防ぐことができたという報告もあります。

なお、これらの併用に関しては医師やクリニックによって方針が違います。あらかじめ説明を受け、不満な点がないか確認しておきましょう。

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