非常に身近な野菜「キャベツ」は時期にもよりますが、手頃な価格でおいしいのはご存知のとおりです。 しかし、キャベツは「節約」「おいしい」だけではなく、身体によいパワーを秘めている野菜なのだそうです。キャベツにはどのような栄養があるのでしょうか?確認してみましょう。
ビタミンCというと、レモンなどの果物のイメージがありますが、実はキャベツにも多く含まれています。ビタミンCは、結合タンパク質であるコラーゲンの生成に深く関わっている成分。極端に不足すると血管がもろくなってしまう「壊血病」という症状が出てしまいます。少し不足をしているくらいでも、お肌のトラブルが発生することもあり、ビタミンCは人間にとって不可欠な栄養素となっています。また、近年では、その抗酸化作用が注目されており、がんや動脈硬化の予防にも有効だと考えられています。
ビタミンCは人間の身体の中でつくることはできません。食べ物や飲み物から摂取するしかありません。キャベツのなかでも特に春キャベツに多くのビタミンCが含まれています。ただし、熱に弱い栄養ですので、食べるときにはサラダにしたりそのまま食べたりするのがおすすめです。
キャベツから発見されたビタミンU。別名を「キャベジン」ともいいます。どこかで聞きおぼえがあるかもしれませんが、ビタミンUは胃腸の保護に効果があることから、胃腸薬に使用されています。胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の修復を助ける作用があるので、飲み過ぎや食べ過ぎのときには生のキャベツを試してみてください。
キャベツには前述のようにビタミンCによるがん予防が期待できるのですが、ほかにも「イソチオシアネート」という物質が、がん予防に有効だといわれています。
イソチオシアネートは野菜に含まれる辛味成分です。さまざまな種類がありますが、キャベツなどに含まれるものは、がんを予防したり、がん細胞を死滅させる働きがあるといわれています。
国立がん研究センターでは、平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2017年現在)管内にお住まいだった、45~74歳の約8万人の方々を平成24年(2012年)まで追跡した調査結果にもとづいて、アブラナ科野菜摂取と肺がん罹患との関連を調べた結果を発表しています。[注1][注2]
それによると、2012年までの追跡の結果、1499人(男性1087人・女性412人)が肺がんと診断されました。男性全体ではアブラナ科野菜摂取と肺がんリスクとの間に有意な関連はみられず、アブラナ科野菜の摂取量が多い非喫煙者で、肺がんリスクが51%低くなっていたそうです。個別のアブラナ科野菜と肺がんリスクの関連を調べた結果、キャベツを多く食べていた男性の非喫煙者では、43%肺がんリスクが低くなっていました。その他のアブラナ科野菜では男女ともに関連はみられませんでした。[注3]
この調査では、日本人集団において、男性の非喫煙者および過去喫煙者で、肺がんリスクが低くなることが示されました。がん抑制のメカニズムにおいては、さらなる研究が必要と結論付けられています。[注4]
イソチオシアネートは、キャベツだけに含まれているわけではありません。上記の「肺がんとの関係」で述べているように、キャベツを含むアブラナ科植物全般に含まれています。
アブラナ科の野菜とは、キャベツ、ダイコン、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイなどがあります。これらの野菜には、イソチオシアネートをはじめとする、多くの栄養素が含まれていて、上記のような抗がん作用のほかに、抗炎症作用、抗酸化作用活性があります。
ある追跡研究結果では、アブラナ科野菜の摂取量でグループ分けをおこなったところ、16.9年のうちの死亡リスクが最も多く摂取したグループと最も少なく摂取したグループで男性14%、女性11%低いことが分かっています。キャベツをはじめとするアブラナ科の野菜は、がんだけではなく、心疾患や脳血管疾患による死亡リスクも低下させるのではと期待されています。
イソチオシアネートやビタミンを豊富に含むキャベツ。安価で調理しやすいのも特徴です。そのキャベツをメインとしてたっぷりと食べられるレシピをご紹介していきましょう。
キャベツなどの野菜だけではなく、タンパク質もしっかりと食べられるように工夫したレシピです。高齢者で低栄養になりがちな場合でも、ソースの香ばしい香りで食欲をそそられることでしょう。紅しょうがを入れることがポイントで、さっぱりした食感が食欲不振のときにもおいしくいただけます。
■じゃが芋1/2個…50g■キャベツ1~2枚…50g■卵…3個■紅ショウガ…10g■豚肉…25g■サラダ油…大さじ1/2■お好み焼きソース…適量■マヨネーズ…適量■かつお節…適量
1.じゃが芋は細切り、キャベツは千切りに切る。
2.卵は紅ショウガを加えて割りほぐしておく。
3.熱したフライパンに油をひき、豚肉と1を入れて炒める。
4.火が通ったら2の卵を流し込み、弱火にして蓋をする。
5.卵が固まったら、裏返して焼き色がつくまで弱~中火で加熱する。
6.5を皿に移し、ソースとマヨネーズ、かつお節、紅ショウガ(分量外)をお好みでかける。
キャベツに含まれるビタミン類などの栄養素は熱に弱いものが多く、加熱調理をすると損なわれてしまいます。生のキャベツでも、千切りにしてサラダで食べることによって食感もよくなるので、定期的に生で食べてみてください。さっぱりして美味しいサラダです。
■キャベツ…150g■玉ねぎ…50g■(A)ドレッシング…粒マスタード大さじ1/酢大さじ1/白だし小さじ1/2/しょうゆ大さじ1/2/エキストラバージンオリーブオイル大さじ1
1.キャベツはせん切りにする。玉ねぎは薄切りにして水にさらす。
2.ボウルに(A)のドレッシングの材料を混ぜ合わせる。
3.2に1の水気をきった玉ねぎ、キャベツを加えて混ぜる。
納豆とキャベツという、意外な組み合わせのサラダです。納豆に含まれている納豆菌は、腸内の善玉菌の働きを助け、腸内環境を整えます。キャベツも繊維質とビタミンUの働きで整腸作用があります。噛む力が弱っている方の場合には、キャベツを電子レンジで加熱しておけば食べやすくなります。
■納豆1パック…50g■キャベツ葉…2枚(100g)■削り節…小1/2パック■しょうゆ…小さじ1■ごま油…小さじ1■刻みのり…適量
1.キャベツは千切りにする。
2.納豆に削り節、しょうゆ、ごま油を入れよく混ぜる。
3.キャベツを加え、しっかりと混ぜ合わせる。
4.器に盛り、刻みのりをちらす。
ワサビには強力な抗酸化作用とがんなどを抑制する作用があります。アブラナ科のキャベツにもイソチオシアネートによる同様の作用がありますので、大きな健康作用が期待できるでしょう。青じそがたっぷりで、さわやかな味わいです。
■キャベツ…1/4個(200g)■青じそ…4~5枚■わさびだれ…おろしわさび少々/うす口しょうゆ小さじ1/2/砂糖少々/塩
1.キャベツと青じそは5mm幅に切る。わさびだれの材料を混ぜ合わせる。
2.キャベツに塩小さじ1をふってもみ込み、しんなりしたら水けを絞って青じそを加え、わさびだれであえる。
■タマネギ■ニンジン■キャベツ■カボチャ■セロリ■セロリの葉■トマト(全部合わせて300g程度)
1.タマネギは一口大、キャベツはざく切りにするなど、各食材を食べやすい大きさに切る(ニンジンは皮をむかない)。
2.鍋に野菜を入れ、水を900ml注ぐ。
3.ふたをして火にかける。沸騰直前に火を弱め約30分煮てできあがり。
ウインナーや肉料理と相性の良いザワークラウトは、キャベツの漬物です。家でも簡単に作れます。ドイツの料理として紹介されることが多く、日本語に訳すると「酸っぱいキャベツ」なのだそう。
本来であれば1週間ほど冷蔵庫で寝かせてから食べる保存食ですが、今回は発酵せず、炒めて作るレシピをご紹介します。
■キャベツ…お好み量■酢…適量■砂糖…適量■クミンシード…適量■塩…適量■黒コショウ…適量
1.キャベツを千切りにする。
2.酢、砂糖、クミンシード、塩、黒コショウをフライパンに入れて温める。
3.調味料が煮立ったら、キャベツを入れる。
4.キャベツがしんなりとし、クミンシードの色がついてきたら火を止め、7時間置く。
5.色が十分についていることを確認したら皿に盛りつけて完成です。
ぬか漬けを家でやるには難しいイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、実際にやってみると非常に簡単です。
キャベツが余ってしまった場合などはぬか漬けにしておいて後日食べるのがオススメ。漬ける時間を変えれば、浅漬けにすることもできます。
■キャベツ…お好み量■オリーブオイル…小さじ1■料理酒…小さじ1
1.キャベツをぬか床に漬けやすいサイズに切る。
2.ぬか床に漬ける。
3.2~3日程置いて食べごろになったら取り出してお好みのサイズに切る。
4.オリーブオイルや料理酒で和えて完成です。
和風のキャベツ料理が食べたくなった時にオススメのレシピです。ごはんのおかずになるので、お弁当におかずとして入れるのも良いでしょう。
■キャベツ…1/4玉■豚肉…250g■塩コショウ…少々■ごま油…おおさじ1■しょうが…おおさじ1■かつおぶし…小パック1
1.豚肉を食べやすいサイズに切る。
2.キャベツを一口サイズに切る。
3.ごま油を引いたフライパンにしょうがを入れて熱し、豚肉を入れる。
4.キャベツを入れてしんなりするまで炒める。
5.調味料を入れて弱火にする。
6.全体に味がいき渡ったら、火を止めて皿に盛りつけて完成です。
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