全身のあちこちに転移や再発が頻繁に起こるという点は、がんという病気の大きな特徴のひとつであり、最も怖いポイントでもあります。
この病気と闘って勝つためには、敵であるがん細胞の性質や再発・転移のメカニズムについて十分に知っておく必要があります。まずは、転移の特徴や性質について、基本的な知識を学んでおきましょう。
転移はなぜ起きるのか、転移と再発の違い、転移しやすいがんや転移しやすい場所など、具体的な情報を知っていくことで、転移を起こさないよう十分な予防策を講じることができます。
自分自身ががんと診断されたら、または大切な家族や友人ががんと分かった時、どのようにして病気と闘うか、いかにして転移を予防するかが、健康な身体と心豊かな生活を維持するためのカギとなります。
がんの転移に関する知識や情報をできるだけ多く入手して、自分にしっくり合うものを見つけ、なるべく早めに対策を講じましょう。
あらゆる可能性を信じて前向きに治療へ向かうことが、転移を予防してがんに打ち勝つ第一歩となるのです。
がん発見時に完全除去できていたと思っても、転移することがあります。原因は悪性の腫瘍が周囲にある正常な細胞から栄養素を吸収・破壊し、大きくなっていくため。発生した場所で浸潤がすすんだ場合、外へがん細胞が飛び出し、他の場所で増えることがあります。
特に体中を巡っている血管やリンパにまで飛び出してしまった場合、これらの流れに乗って体の中を移動するのです。全身の血液は心臓から送り出されてまた心臓に戻ってくるのですが、この過程の中でがん細胞を運び、転移の原因になってしまうことがあります。
転移は再発とは違います。再発とは残っていたがん細胞が再び増殖して現れること。初期段階で腫瘍をすべて摘出したつもりでも微小な転移を残してしまった場合にはそこから再び増殖することがあるのです。
再発は同じ場所で再び増殖するのに対し、血液やリンパの流れに乗って細胞が別の場所に移動して増殖を繰り返すことを転移と言います。
がんの転移には大きく分けて局所転移と遠隔転移があります。もともと発生していた原発がんと同じ臓器、またはその周辺に発生したものは局所転移(局所再発)と呼ばれ、一部の臓器だけにがんがとどまっている場合は比較的治療しやすいといえるでしょう。
一方で、離れた臓器に転移した場合は遠隔転移と呼ばれ、遠隔転移が見つかった場合にはがん細胞がすでに全身を巡っている可能性が高いです。
がんの種類によって転移しやすいものもあれば、しにくいものもあります。特に転移しやすいのが肺がん、胃がん乳がん、すい臓がん、大腸がん悪性黒色腫(メラノーマ)となっており、どのがんが発生したのかによって転移しやすい臓器も異なるのです。
一方で転移しにくいと言われているのは、甲状腺がんや子宮頸がんなどを原発とするがんです。また、肝臓がんやすい臓がん、膀胱がんなどは再発しやすいと言われています。
原発がんを治療し、すべて取り除けたと思っていてもある日、転移が見つかってしまうこともあるため、がんの転移先になりやすい臓器についても理解しておきましょう。
もともとどこに発生していたがんなのかによって、しやすい臓器が変わります。特に離れた場所に発生する転移については見逃してしまうこともあるため、転移しやすい臓器は定期的に検査することが大切です。
どこに転院するのかによって危険度が異なります。がんは全身に転移する可能性もある厄介なものですが、特に血管やリンパに転移した場合には全身に広がるリスクが高くなるといえるでしょう。
他、脳に転移した場合は性格が変わったり、精神症状が現れることもあります。骨への転移も身体を動かした際に強い痛みが発生することもあるので転移が怖い場所です。
再発や転移はいつ起こるかわからないため、切除手術が完了しても5年間は十分に注意しておきましょう。代表的な再発・転移のサインとして挙げられるのが原発巣を取り除いた後に発生する痛みなどです。
原発がんの症状が現れていた部位以外に発生した不調についても転移の可能性があるため、治療したのと違う場所だからがんと関係はないと安易に決め付けないようにしましょう。
がんは転移しやすい病気ではありますが、予防は不可能ではありません。病院では抗がん剤による治療や様々な化学療法、ホルモン療法。自宅で行う漢方や鍼灸、免疫療法などが代表的です。
自宅では喫煙を止めて禁煙する、運動不足を解消するなど生活習慣の改善などで予防に努めましょう。
もしもがんの転移が見つかった場合、局所的に発生している転移であれば外科治療も選択できます。全身に転移した場合にはどこか一つだけを治療すれば良いわけではないので難しくなりますが、先端治療という選択肢もあるのです。転移の状況に合わせて最適な治療法を選択することが大切になります。
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