初回の手術後に再発や転移が見つかったケースであっても、転移の状況や患者さんの体力を見て、もう一度手術療法が適用される場合があります。
がん治療の基本は腫瘍の切除ですから、適切な手術が受けられれば完治や寛かいに近づくこともできるはず。
手術療法が受けられるかどうかは、その後の生活を左右する重要なポイントです。

がんの転移や再発が分かったとき、ほとんどのケースでは手術を行わず、放射線治療や抗がん剤による化学療法などの全身治療に切り替えるのではないかと考えがちです。確かに、転移が広範囲に広がっているケースなど、手術療法が適用とならない症例もあります。
しかし現在のがん治療の一般論では、転移や再発が手術できる範囲でおさまっている場合なら、できるだけ切除してしまった方が、予後が良好に保てると考えられているそうです。
転移や再発が起こっても、外科手術によって腫瘍を取り除くことができれば、完治できる可能性がまだまだ残されているというわけです。
転移病巣への手術療法が適用となるかどうかは、病巣をすべて取り切れるかどうかにかかっています。基本的には、転移や再発がひとつの臓器内に留まっていて、腫瘍を取り切れると判断された場合は手術の適用となるそう。
例えば、肺と肝臓など2つの臓器に転移が見つかったケースでは、それぞれの転移巣の位置や大きさ、数などを見て、どちらもすべて切除できると判断された場合のみ、手術療法の適用となります。
転移や再発に対する手術療法として注意しなければならないもうひとつの点は、腫瘍を切除した後の生活に支障をきたさない程度に、臓器の機能を残せるかどうかにあります。
手術療法では、腫瘍を取り除くと同時に臓器も一部切除してしまうわけですが、術後の生活の質を保つために、それまでの機能を維持できる程度の範囲に切除をとどめておく必要があるわけです。腫瘍をすべて取り除いても、臓器の機能を保てるかどうかの見極めが非常に難しいと言えます。
さらに、手術を受ける患者さんの体力が持つかどうかも重要なポイント。例えば、再発が見つかった時点で75歳を超える高齢である場合や、著しく体力が低下している場合などは、手術に耐えられないと判断して手術療法が適用されないケースが多いようです。
転移もしくは再発したがんに対して手術療法を選択した場合、どんな改善や効果が期待できるのか大変気になるところです。治癒するために過ごしてきた患者にとっては計り知れないショックであり、また手術をするとなれば不安も期待も大きいことでしょう。
ここでは転移したがんに対する手術療法の効果について、転移する理由も含めて手術の目的や効果、心理面への影響などについて解説しています。
原発がん手術で全てのがん細胞を取り除ければ根治できたと言えますが、少しでもがん細胞が残存していると転移や再発の可能性が出てきます。
なぜ転移や再発するのかと言えば、
と言うようなケースです。手術後はがん細胞の残存に対する遺伝子治療を合わせて再発を予防しますが、転移巣があると増殖して再発の可能性があります。
転移したがんは、「薬物療法」「放射線治療」「手術療法」「緩和ケア」が行われます。
その中の一つである「手術療法」は主にがん細胞が転移した部位に影響を及ぼす目的で行われます。ただし、この手術は原発のがん細胞の時とは異なり、体の状態や本人の希望と照らし合わせて検討するのが基本で標準治療には当てはまらないケースも多々あります。
原発の治療ではがん細胞を取り除くことが第一目的ですが、転移したがんに対しては「がんによる痛みなどの不調を和らげる」のが目的となります。
手術療法はがんを消滅させるために有効な療法ですが、転移したがんが全身に広がっているようなケースには適しません。早期に転移を発見した場合、がん細胞によって起こる辛い症状や生活に支障をきたす原因がある場合に手術療法が選択されます。
例としては、がんによって消化管が塞がれて食生活がままならない、脊椎に転移して痺れや麻痺が生じる、気道が塞がれて窒息の危険があると言うようなケースです。[注1]

がん治療において手術療法は三大標準治療のうちの一つで原発がんの治療法としては最も多く選択される方法です。
転移したがんに対して行われる手術療法は若干目的が異なる場合もありますが、体の負担を緩和するためであることには違いありません。そこで手術療法の選択をする際に知っておくべきメリットとデメリットについて触れておきましょう。
がん細胞を直接取り除けます。手術にて完全切除ができればがんの再発はありません。また、手術時にはがん細胞が増殖しやすい周囲のリンパ節も取り除けたり、進行具合を確認したりすることができます。
転移したがんの場合は、数が多くなく、そして切除できる箇所であれば同様に効果を得ることができます。手術は体の負担になりますが、最近では医学の進歩によってスコープを使用するなど患者の体に負担の少ない方法での手術もできるようになっています。
手術後の体力や傷口の回復にある程度の時間を要します。また、体の機能を失うリスクも時にあります。
がん細胞を直接除去できますが、がん細胞をわずかに取り残したり、取りきれていなかったり、こぼれてしまった場合などは再発のリスクが高くなります。また、他の臓器にがん細胞がすでにマイクロ転移していた場合なども同様です。
胃がんのリンパ節転移があると診断された場合、標準治療として手術療法が選択されます。転移の可能性があるリンパ節を全て(胃3/2以上)摘出しますが、再発や転移を完全に防げるものではありません。
腹膜に転移すると腹水が溜まって呼吸困難になったり、腸を圧迫し腸閉塞などの症状が起きたりします。広範囲の切除手術をするケースもありますが、望ましい治療効果が得られないリスクもあり体への負担があります。
胃がんが肝臓に転移したと分かった時点で胃の周囲のリンパ節や腹膜にも転移しているリスクがあるため、手術療法となるケースが多いです。転移の数が少ない場合は長期的に良好な状態をキープでき、生存率も高まるという報告もあります。
大腸がんが肺に転移し、大腸がんには再発せず、摘出可能な場所にがん細胞が広がっている場合は片肺を摘出する手術療法が選択されます。その際の手術とは胸腔鏡手術、胸腔鏡補助手術、開胸手術などがあります。
がん細胞がしっかり除去できれば原発がん同様に再発のリスクを抑えられます。
大腸がんが肝臓に転移した場合、手術療法は最も効果のある手段です。腫瘍の数が多くても肝臓を30%程度残せる場合は問題がなく手術ができます。術後、化学療法を合わせて治療を行えば飛躍的な効果を期待できる方法です。
腫瘍の大きさが3cm以下で場所が肺の外側にあるものに限られます。早期にしっかり除去できれば再発のリスクを抑えられます。
一度は取り除いたがんが転移したと聞けば体調への影響だけでなく、落ち込みや孤独感に苛まれ、心の不調になることも多くあります。
転移したがんに対する手術療法はがんを取り除くよりも緩和ケアに近い目的の場合が多いため、治癒を目指す患者としてはもどかしく感じる人もいるでしょう。
しかし、転移したがんの手術療法は、手足のしびれや食事の困難など生活に支障をきたすケースに多く選択されます。普段できたことができないとストレスになったり、落ち込みが激しくなったりしがちで、がん細胞を増殖に影響を及ぼす場合も。転移したがんを治療していく上で体と心の負担を取り除くことを最優先させることは健やかな生活を送るためにも重要なポイントなのです。
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