症状や痛みに関すること

花かごがんと診断された本人や家族にとって、最も心配なのはその症状。どの程度の痛みが伴うのか、という点かもしれません。

がんと立ち向かうために必要な知識として、症状や痛みに関する不安や疑問を、まずは解決していきましょう。

Q1.再発・転移したがんは、元のがんより悪性度が高い?

Ans.再発・転移したがんは、悪性度が高く変化しているケースが多い

再発がんや転移性のがんが発見されたときに、原発がんとは違う治療法を選択することがあります。それは、原発がんよりも悪性度が高くなっていて、以前と同じ薬や治療法では、通用しなくなっているケースが多いからです。抗がん剤の場合が顕著で、原発がんには効果が高かった薬剤が再発がんには全く効かない…なんていうケースもあるのです。

転移や再発が起きると、治療がより難しくなってしまうので、できるだけ再発させない“予防治療”が重要になってくるわけです。

乳がんの場合、元のがんを治療してから再発までの期間が短い場合は、がんの悪性度が高いとされています。がん細胞が全身に広がっている可能性があるので、先に薬物療法を実施。薬物療法で効果が見られれば手術や放射線療法など別の治療法を検討します。

はじめに腋窩リンパ節郭清やセンチネルリンパ節生検を行った側の腋窩リンパ節にがんの再発が見られた場合も再発を確認。肺をはじめ他の部位に再発が見られなければ、再び腋窩の手術を行います。

遠隔転移が見られた場合は、目に見えないがん細胞がほかにも潜んでいるかもしれません。その際には基本的に化学療法やホルモン療法、抗HER2療法など、体全体への効果が期待できる薬物療法を先に行うことが優先されます。薬物療法は同時に複数行わず、効果がある限りは1種類のみを継続。効果が見られなくなってきたら別の治療法に変更していきます。

遠隔転移のあるがんは、がんの進行を抑制したり症状を和らげたりしつつ、生活の質を保ちながら治療を行っていくのが基本的。肺や脳などの臓器にがんが転移した場合は、それぞれに合った治療法を組み合わせることがあります。[注1]

Q2.転移性のがんの痛みは強い?

Ans.骨転移・脳転移などで原発がんと違う痛みが生じることがあります

肺や胃など内臓器官へ腫瘍が発生した場合、初期は内臓に痛みを感じる痛点がありませんので、特に苦痛を感じることは少ないようです。ただし、腹膜やほかの器官に転移、浸潤が起きた場合に大きな痛みが現れます。腎臓や膀胱など泌尿器のがんの場合は、尿が通過する際に痛みが生じる場合があり、同様に、大腸など消化器官のがんは、便が通るときに痛みが出ます。

また、内臓から骨や脳などに遠隔転移が起きると、別の痛みが発生します。

骨の転移箇所では、腫瘍が骨膜に分布している痛点を刺激し続け、骨自体が常に痛むようになります。さらに浸潤が進むと、動かした時にも鋭い痛みが起きるようになり、骨折を伴うこともあります。脳へ転移がある場合は、頭の広い範囲にうずくような頭痛が起こることが多いそう。特に起床時に激痛となることがあるそうです。

骨転移の痛みを緩和するには、放射線の照射が有効だとされていますし、脳転移に伴う頭痛には、非ステロイド系の抗炎症薬や鎮痛薬が効くと言われています。

がんがもともとあった場所、または転移した場所によって痛みが出るかどうかが分かれます。[注2]

肝がんの場合、肝臓にできたがんや肝臓に転移したがんなどによって、右肋骨の下部分、またはみぞおち部分に痛みが発生。すい臓がんの場合は、転移したがんによって膵液の排泄が停滞することですい臓が腫れ、みぞおち部分から背中にかけて痛みが出てきます。

がんが増大すると骨に転移し、骨膜に広がる痛覚受容器を刺激。これにより痛みが発生します。

脳内のがんの場合、脳自体は痛みを感じません。しかしがんが脳に転移すると痛覚受容器のある大血管髄膜で痛みを生じる場合があります。

がん患者が受ける痛みは身体的な痛みだけでなく、社会的、または精神的な痛みを伴う場合があり、これらを合わせて全人的痛み(total pain)と捉える必要があるでしょう。

痛みの評価は、痛みの質と量に加え、どれくらい困る痛みかの評価が必要です。

Q3.抗がん剤の副作用はどんな症状が出る?

Ans.主な症状は吐き気や脱毛、下痢や貧血、肝機能障害など。副作用が起きる時期によって、いくつかに分類されます

抗がん剤はがん細胞を殺す効果があると同時に、正常な細胞も傷つけてしまう働きがあります。ですから、多かれ少なかれ、副作用と呼ばれる不快な症状が現れます。抗がん剤を投与してからどのくらいで症状が現れるかによって、以下のように分類されます。

投与直後に現れる副作用
嘔吐、吐き気、発熱、血圧低下、血管の痛み、アレルギー反応 など
投与後2日から1週間で現れる副作用
食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠感 など
投与後1週間から2週間で現れる副作用
食欲不振、下痢、口内炎、胃もたれ、貧血、白血球や血小板の減少 など
投与後1週間から1ヶ月で現れる副作用
脱毛、手足のしびれ、膀胱炎、皮膚の角化やシミ など
副作用について[注3]
抗がん剤は細胞分裂の早い細胞に影響を与える薬です。正常な細胞にも影響を与えてしまうため、さまざまな副作用が起きてしまいます。抗がん剤の治療による副作用は、治療を始めてからすぐに現れるものと時間が経ってから現れるものとさまざま。そのため、それぞれの時期に合わせた対応が必要になります。
アレルギー症状[注3]
アレルギー症状は点滴中、または点滴を終えてからすぐに出てくる副作用です。頻度は高くないものの、出てくると重症になる場合があるので、すぐに対応しなければなりません。点滴中、または点滴後に息苦しさ、顔のほてり、胸の痛み、汗が出る、発疹といった症状が出た場合はすぐに伝えましょう。
吐き気と嘔吐[注3]
吐き気と嘔吐も副作用の一つです。吐き気と嘔吐が引き起こされるタイプは3つあります。
  • 点滴直後から数時間以内に起きる症状
  • 点滴終了後から24時間経ってから現れ、数日間続く症状
  • 薬を点滴すると意識しただけで起こる症状
治療を受ける方によって症状の程度はさまざまですが、症状が長く続くと脱水症状になる可能性が高くなります。症状が続く場合は医師・看護師・薬剤師への早急な連絡が必要です。
筋肉・関節の痛み[注3]
治療をはじめてから2~3日すると肩や背中、腰、腕などの筋肉と関節が痛くなることがあります。ほとんどが一次的な痛みで、長くても5~6日以内に回復しますが、我慢できない痛みの場合はがまんせずに医師や看護師、薬剤師などに相談しましょう。
感染症[注3]
熱やせき、寒気、のどの痛みなどが出た場合は、抵抗力が落ちたことによる感染症にかかっているおそれがあります。とくに白血球の数が最も減少する、点滴開始から7~14日目は要注意。感染症を引き起こさないように、または感染しても重症化しないように、気になる症状が現れた場合はすぐに連絡してください。
脱毛[注3]
脱毛は治療開始から2~3週間あたりで始まります。これは一時的なもので、治療を終えて6~8週間後には毛が生え、半年ほどでほとんど回復します。毛の質も変わる場合がありますが、時間が経つにつれて依然の髪質に戻ってくるので心配はいりません。髪の毛が抜けるときにピリピリとした感覚が訪れることがあるので、頭皮に刺激を与えないようにしましょう。治療後3~5日後から手足にピリピリした感じや刺すような痛み、感覚が鈍くなるといった症状が出てきます。治療を継続することで症状が強まることもあり、場合によっては治療を中止することもあるそうです。気になったら我慢せずに医師、看護師、薬剤師に確認してください。

Q4.痛みを緩和するケアって、どんなもの?

Ans.鎮痛薬や放射線治療、マッサージなどを行って痛みを和らげます

がんという病気に対する研究が進むにつれて、治療に関する技術だけでなく、痛みを緩和するケアに関しても追及されるようになってきています。

最近は、がん治療を行うクリニックの多くで、緩和ケア専門のスタッフやチームを用意して、強い苦痛を訴える患者さんに対応しています。

現在、痛みを和らげる方法として実際に行われているのは、以下のようなものがあります。患者さんの痛みの状況を見ながら、これらを組み合わせてケアを行っています。

  • 鎮痛薬の処方
  • モルヒネの処方
  • 神経を麻痺させる注射
  • 患部への放射線照射
  • 患部への温熱・冷却療法
  • 患部のマッサージ
  • 鍼灸治療

痛みを和らげる方法[注4]

痛み止めを使う
アスピリンやアセトアミノフェンなどの一般的な鎮痛薬を使用。またはモルヒネをはじめとする医療用の麻薬を使用します。
神経ブロックの処置
痛みの原因となる神経をマヒさせ、痛みを感じにくくさせます。
放射線治療または経皮的椎体形成術を提供する
骨に転移したがんは強い痛みを引き起こすため、放射線を当てたり経皮的椎体形成術を施したりして痛みを抑えます。
筋肉のこわばりをほぐす
痛む場所の周りにある筋肉がこわばると痛みを強く感じる場合があるため、鍼や灸などでこわばりを和らげます。
心の不安を軽減する
精神科や心療内科などの医師のほか、心の問題を専門に扱う看護師、心理士、ソーシャルワーカーなどから心のケアを受けます。

Q5.心のケアが必要な場合はどうする?

Ans.専門家のカウンセリングや抗うつ剤の処方でケアします

がんで苦しんでいる患者さんにとっては、肉体的な痛みを和らげるケアと同時に、精神的な苦痛を緩和するケアも必要となります。

最近では、がん治療における精神面の研究を行う、精神腫瘍学という考え方が発展してきているそう。心理学や精神医学、腫瘍学などを組み合わせて、がん患者の生活の質を向上させ、精神疾患を改善することを目的としています。また、患者を支える家族の精神的なサポートを行うのも、この精神腫瘍学によるケアのひとつです。

具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 心療内科やソーシャルワーカー、カウンセラーなどによるカウンセリング
  • 抗うつ剤や抗不安薬などの処方
  • リラックスできる方法を一緒に考える、トレーニングする

心のケアについて相談したい場合[注5]

心のケアについては心療内科医、精神科医、心理士といった専門家が担当。心の問題を専門とする看護師またはソーシャルワーカーが窓口となります。

専門家によるケアはカウンセリングと薬物療法が中心です。専門の医師によるカウンセリングと薬物治療の費用は、公的な保険が適用可能。病院によっては無料で相談を受けているところもあります。

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