悪性中皮腫

悪性中皮腫は胸、腹、心臓に精巣などの膜のうち、どこに中皮腫ができるかで病名が変わる「がん」です。今回は例として胸の膜に中皮腫ができる悪性胸膜中皮腫についてまとめています。

悪性中皮腫の基礎知識と転移の特徴

悪性中皮腫、中皮腫とは中皮細胞に出るがんです。中皮種がどこにできるかによって、病名が変わります。胸膜、腹膜に心膜や精巣、4つからわけられ、9割を占めるのが胸膜中皮腫です。胸膜とは、肺を包んでいる膜のことです。

胸膜にある中皮細胞が変化して悪性腫瘍になることを、「悪性胸膜中皮腫」といいます。悪性胸膜中皮腫はアスベストが関係していて、勘違いしてしまう人もいますが、中皮腫とたばこには関係がありません。

アスベストを扱っていた人たちが発症しやすく、アスベストの使用があった場所の近くにいた人もなりやすい病気です。潜伏期間は平均40年以上かかることもあるため、原因に気づけない人も少なくはありません。気にかかることがあれば念のため病院を受信しましょう。

胸部X線写真やCT、これらの画像からしこりや胸水が認められることもありますが、それでも肺がんとの判別が難しいところです。腫瘍細胞を調べる、麻酔を打って腫瘍の組織片をとるなどの診断方法があるので確認しておくと心の準備ができますね。

悪性中皮腫と転移の関係

中皮腫は腫瘍がとどまる傾向にあり、転移は少ないようです。ただ、病気が進行してしまうと、骨や肝臓など、転移することもあります。

悪性中皮腫は再発することもあり、それが再発悪性中皮腫です。再発したうえで転移することもあります。治療をして症状が落ち着いていても、具合が悪くなったら診察を受けてください。

悪性中皮腫の症状

悪性中皮腫の初期は、症状があまりないため、発見が遅れてしまいがちです。自覚症状としては、胸の痛みやせき、胸水による胸の圧迫感、呼吸がしにくい、原因が分からない体重減少などが挙げられます。

ただし、これらの症状は悪性胸膜中皮腫のみの症状ではないため、判断が難しいところです。自己判断せず、医師の判断を仰ぎましょう。

また、悪性胸膜中皮腫には2つのタイプがあります。1つは1カ所に集中して肥大する「限局性」、2つめは胸膜全体に広がる「びまん性」です。

がん細胞の種類としては3種類。「上皮型」「肉腫型」「二相型」になります。

約6割を占めるのが上皮型で、治療後の経過が他と比べて良いとされるものです。2割の肉腫型は病気の進むスピードが早く、経過も悪いとされています。同じく2割の二層型はこの2つの中間のタイプです。タイプによって必要な処置は変わるため、どんな治療方法があるのか考えておくと良いでしょう。

悪性中皮腫の主な治療法

治療法には主に3つあります。

  • 手術療法
  • 化学療法
  • 放射線療法

他の場所に転移が見つからない場合、外科手術を行います。片方の肺を取り除く手術や胸膜の切除で肺を温存する手術、どちらも大きな手術です。手術のみで悪性胸膜中皮腫の治療をすることが難しいため、患者さんに他の治療を行うことも多くあります。

化学療法を選択するケースも少なくはありません。悪性胸膜中皮腫で胸膜の厚みやしこりが目立つ場合、外科療法を行わずに化学療法が選ばれるでしょう。

日を追うごとにどんどん新しい抗がん剤が開発されています。化学療法のほうが効果的にがんを治療できる可能性もあるので、医師と綿密な話し合いを重ねましょう。

放射線治療ではがん細胞の死滅や成長をおさえる治療を行います。痛みの緩和や応急処置としても選ばれているのが特徴です。病気と向き合っていく中で、痛み、吐き気などがある場合は我慢せず、主治医に伝えてください。

今は悪性胸膜中皮腫は完治が難しいとされています。しかし、日々発展する医療には明るい未来があるのです。もし病気になったとしても、不治の病と悲観することはありません。

もし、今ある治療法以外の治療に可能性を知りたい方は臨床試験の参加を検討するのも良いかもしれません。大きな病院で試験を申し込み、一定の項目をクリアした場合に臨床試験の参加が認められます。必ず治るという保障はなく、一般的ではない治療法ですが、研究を繰り返して行われている試験なので、寛解する可能性があります。

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