恐れていた転移や再発が見つかったら、絶望的な気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、転移の場所や数、病状によって、治療法はまだまだ残されています。
転移の状況を見極め、できるだけ効果の高い、適切な治療法を選択しましょう。
転移した臓器や一か所のみで、腫瘍の数や大きさも小さいなら、十分に外科治療が可能です。原発のがんの治療はすでに終わっているなら、転移巣の切除や抗がん剤治療などの標準治療を集中的に行い、転移がんの進行を食い止めましょう。
切除手術の適応とならない場合でも、ガンマナイフなどピンポイントで放射線照射ができる治療などを受けることもできますし、乳がんや前立腺がんなどにはホルモン療法などを行うケースもあります。
いずれにせよ、がんの転移が局所的に留まっているなら、外科治療や放射線治療などの標準治療で腫瘍を取り除くか、できるだけ小さくしていく方針で治療を進めることができます。
『転移が脳にも肺にも見つかった』というように、複数の箇所へ同時多発的に転移が起こった場合、多くのケースで外科的な手術は適応となりません。
局所的にがんを取り除いたり死滅させたりすることを目的としている標準治療では、限界となってしまいます。多くの病院では、できるだけ苦痛を抑えて穏やかに生活できるよう、緩和ケアに切り替えて対応します。
しかし、完治や寛かいへの道が残されていないわけではありません。
例えば、自分の血液から免疫細胞を取り出して活性化させ、再び投与する免疫治療などは、全身に散らばったがん細胞を自らの免疫機能で見つけ、攻撃して減らせる可能性を秘めた新しい治療法。手術療法や強い放射線治療・化学療法などに比べて、身体への負担が少ないのが特徴です。
免疫療法は、免疫細胞の活性の方法を工夫したり、確実に治療効果がアップするよう研究が進められています。
このような先端治療は、健康保険が適用されず自由診療となってしまうので、かなり高額な治療費となってしまうことがネックです。しかし、できる限りの可能性を試したいという人には、ひとつの選択肢として有効なのではないでしょうか。
最初に発生したがんを治療しても、すでにがんが転移している場合やある程度の期間を経てがんが転移していることが発覚するケースも少なくありません。
もちろん、がん転移が見つかった場合は速やかに治療を行う必要があります。
ここではがん転移について、早期発見するための検査やどのような治療が行われるかについて調べてまとめました。
がん転移とは、最初にがん細胞が見つかった場所から別の場所に移動して増えることです。国立がん研究センターが毎年公表している「がんの統計」に、5年後、10年後の生存率に関するデータがありますが、これに「がんの転移」は関わっています。[注1]
なぜ、がん転移が起きるのかといえば、最初に見つかったがん細胞が血管やリンパ管に侵入し、血液やリンパ液に混じって別の場所に移動するからです。
がん転移には大きく分けて三つの種類があります。
リンパ行性転移 | リンパ液の流れが集まるリンパ節への転移 |
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血行性転移 | 血液の流れが多い場所(肺・肝臓・脳など)への転移 |
播種 | 最初にできたがんの臓器からはがれ落ちたがん細胞が周囲の腹腔や胸腔に転移 |
がん転移は、最初にできたがんとは違う場所に発生しますが、がんの種類が変わるわけではありません。
もしも肺に転移していても元のがんが大腸がんであった場合は大腸がんの細胞であり、特徴や性質も肺がんとは異なります。よってがん転移の場合は元に発生したがんに効果のある治療を行う必要があります。
がんを一度でも患った人にとって治療が良好でもやはりがん転移や再発の不安は片時も離れることがないでしょう。
がん転移は知らないうちにがん細胞が流れてしまうため、いつ症状が発生するかの予想もできません。また一度転移すると転移しやすくなり体の様々な場所でがん細胞が増えてしまいます。そこでがん転移を早期発見するためにはどうすればいいかをまとめました。
がん転移は症状が出て気づく場合、しこりに気づいて受診する人など様々です。ただし、がん細胞がまだあまり増えていないと症状が出ないため、一般的に自覚症状での早期発見は難しいです。
がん転移の早期発見には定期的に検査を受けることが有効です。検査はがんの既往によって医師の診断のもと適切な検査を受けますが、一般的に行われる検査は以下の通りです。
がん転移後の治療は、最初にできたがんの部位の原発巣が大きく関係します。
これは元のがん細胞が血液やリンパによって運ばれて、別の部位で発生しているだけであり、あくまで原発巣で発生したがんを治療するのと同じだからです。
ただし、確実に転移したがんなのか、新たな原発がんか、あるいは併せ持っているのかなど進行状況によっては見極めが難しく、この見極めが治療の大きなポイントとなります。
以下に一部の転移がんの治療法についてご紹介します。
肺に転移していることが判明したら、原発巣の種類によって治療を進めていきます。抗がん剤で効果がある原発巣であれば抗がん剤治療を、効果がなければ放射線治療や手術を行います。
肺に転移した場合には治療を始めるにあたり、二つの検査をしなくてはなりません。一つは原発巣でがんが再発していないか、もう一つは肺以外に転移していないかです。
肝臓へ転移するがんは全てのがんに可能性がありますが肺がん、消化器系がん、乳がん、腎がん、婦人科系のがん、頭頸部のがんが多いとされます。
転移性肝がんで最も経過が良く期待の持てる治療は肝切除です。肝臓は再生能力の高い臓器なため、手術が可能な場合はできるだけ切除する方針となります。
ただし、がんが広がっていると切除は難しく、その場合は薬物治療となります。
薬物治療は多剤併用療法や分子標的薬の併用となります。近年ではこの薬物治療の進歩により生存期間も延長されている傾向にあります。
骨転移したがんの治療には主に放射線治療が行われ、ケースによって手術、薬物治療が行われます。放射線治療には外照射と定位照射、α線・β線による治療があります。
外照射 | 最も一般的な治療です。治療部位には副作用も出ますが、強い放射線治療ではないので重度ではありません。 |
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定位照射 | 病変がある部位には定位照射を行います。定位照射とは強い治療になりますが、その分高い効果を期待できます。 |
α線治療 | 前立腺がんの骨転移を対象に、Ra223という放射性物質を注射する治療で痛みを改善します。治療成績の改善も見られており今後の使用が大いに期待される治療です。 |
β線治療 | Sr89という注射薬を打つことで骨に集積し、放射線を発して症状を改善させる治療です。 |
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