副腎でつくられ、分泌される神経伝達物質・カテコールアミンが過剰に分泌されることで発生する腫瘍を「褐色細胞腫」といいます。ほとんどの褐色細胞腫は良性ですが、全体の1割程度が悪性と診断されることも。まだ解明されていないことが多い腫瘍です。
早期診断が難しく、平均5年で再発や転移が見つかることが多い傾向にあります。症状の1つとして、重度の高血圧が挙げられるようです。健康診断で気にかかったら、なるべく早く病院で検査しましょう。
褐色細胞腫は、30歳から60歳ほどの年代に多く見られる疾患です。副腎の中心にできた腫瘍のことを指します(副腎とは、左右の腎臓上部にある、身体機能の調整をする器官のこと)。
褐色細胞腫には良性の腫瘍と悪性の腫瘍があり、悪性の場合はがんと診断されます。腫瘍にはできかたに種類があり、片方に腫瘍が1つないし複数できたり、両方の副腎にできたりすることも。
一度目の手術の検査で、良性か悪性か判断することは困難です。平均5年で再発や転移が起こり、悪性と判断されることがあります。早期診断や治療の判断が難しい疾患といえるでしょう。
褐色細胞腫は、腫瘍によって症状が出ないものもあります。この場合、検査やしこりによる違和感での発見が可能です。アドレナリンといったホルモンが血中に過剰発生する場合は、症状が出ることもあります。
主に、重度の高血圧になるのが自覚しやすい症状の1つです。他にも動機や発汗、立ちくらみや便秘に体重減少などがありますが、これらの症状が出ただけでは褐色細胞腫であると断定できません。
合併症を引き起こす可能性もあり、不整脈や糖尿病、感染症などになるケースも報告されています。また、腫瘍が悪性の場合には、骨や肺などへの転移するケースがあります。
また、褐色細胞腫の症状を引き起こす要因として、次のような点も挙げられています。
褐色細胞腫の治療では、良性の腫瘍を外科的手術で取り除きます。診断をしてからすぐに手術をすることは、あまりありません。副腎の機能にある、身体の調子を整えるホルモンを正しく分泌できるようにしないと危険なためです。安全に手術をするためにも、まずは薬物治療を行い、症状の制御することが必要になります。
例としては、手術の1~3週間前から薬物治療を行うケースがほとんど。手術を行う前に腫瘍が転移していないか確認します。もし転移がある場合には切除を行うためです。より安全な手術をするため、血圧と心拍数を保てるよう薬物の使用が検討されます。
もし2つの副腎を取り除いた場合は、その後ホルモン療法を受ける必要があります。副腎には生きる上で必要な働きをしているためです。
放射線治療では、がんの種類によって実施する治療が異なります。腫瘍が特定の物質に効果がある場合、その放射線物質を点滴で投与する内用療法で治療することも。放射性物質を体内に直接注射することで悪性の褐色細胞腫に放射性物質を集中させ、放射線で破壊していく方法です。
化学療法は薬でがん細胞の進行や分裂を止めます。がんが進行することを阻止する方法といえるでしょう。注射で投与を行うこともあります。この場合、血液を使って体全体のがん細胞に効果を出します。
身体の組織や機能にあるがん細胞を破壊する焼灼療法も治療法の1つです。
塞栓療法は副腎へ関係がある動脈を塞ぎます。血液を届かせないようにして、増殖していたがん細胞をなくせるようにする治療法です。
正常な細胞に問題を起こさず、がん細胞へ特定して攻撃をする薬物などの物質を使った治療法です。転移や再発をした褐色細胞腫の治療に使います。
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