喉頭は声を発生するための重要な器官で、そこにできるがんを喉頭がんと呼びます。死亡率は他のがんに比べて高くはないものの、最悪の場合には声を失う可能性もあります。
ここでは、喉頭がんの症状や転移の傾向を紹介するとともに、がんが転移してしまった場合の治療法を詳しく紹介していきます。
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転移しやすい場所 | 再発率 | 症状 |
---|---|---|
首のリンパ節 | 不明 | 初期は痛みの無いしこりや腫れが現れます。症状は徐々に全身に広がり、発熱や体重減少、寝汗などが生じます。 |
肺 | 不明 | 咳や胸痛、呼吸困難のほかに、血痰や体重減少などが現れるケースもあります。 |
口腔 | 不明 | 治りにくい腫れやしこり、粘膜が赤い・白いといった症状が現れます。食べ物を飲みこむときに違和感があるときは、麻痺や痺れが出ている可能性も。他には、粘膜のただれや出血、歯のぐらつき、口臭などがあります。 |
喉頭には発声をする声門という器官があり、正確には、ここにできる声門がんが喉頭がんです。声門にがんができると、声のかすれや声枯れ、のどの痛みなどが発生します。ひどい場合には血痰が出ることも。ただし、同じ「のどのがん」である咽頭癌に比べると早期発見率と治癒率が高いため、死亡率は半分以下となっています。
実際の死亡数は年間約1,000人程度、発症しやすいのは60歳以上の高齢者です。男女別にみると、発症者の9割が男性で、性別によってかなり差があるのが特徴。発症の最大のリスクは喫煙だと言われています。患者のほとんどがヘビースモーカーで、その喫煙率は90%を超えるほど。男性に発症しやすいガンではあるものの、最近では女性の喫煙率もあがっているため、女性の患者も増加しています。
また、飲酒や大声を出すこと(カラオケなど)ことも、発症のリスクになるようです。
喉頭がんは進行が早く、初期段階から周囲に転移します。一番多いのが、頸部のリンパ節への転移。さらに、喉頭に隣接する食道や口の中にも転移する可能性も。喉頭の上部にがんができた場合、肺・肝臓・骨などの遠い臓器に転移することもあります。
喉頭がんが悪化すると、食べ物や飲み物を飲み込むことが困難になる、声が出なくなる、呼吸困難を引き起こすといった症状が出ます。食べ物を飲み込めず器官に入ってしまい、肺炎を併発する危険性や、耳の器官が隣接しているために中耳炎を発症する恐れも。喉頭がんを進行・転移させないためにも、早期に発見して治療をすることが大切です。
喉頭がんが進行した場合、注意しなければならないのがリンパ節への転移。というのも、リンパ節へ転移しているかどうかが喉頭がんのターニングポイントだからです。リンパ節に転移した場合、がんの大きさが3cm以下の場合はステージ3、6cm以上の場合はステージ4と診断されます。声門がんはリンパ節への転移が少ない喉頭がんとされていますが、声門上がんは転移が起こりやすいと言われています。首が腫れてから異変に気づき、病院に行く方がほとんど。病院では首をさわる触診が行われ、リンパ節に転移があるかどうか調べます。触診でわからないところはエコーやCT、MRIを使って精密に検査。腫瘍の進行度に加え、リンパ節に転移しているかで治療方法や手術方法を決定していきます。
喉頭がんは、がんの中でも放射線や抗がん剤が効きやすいため、よほど進行している場合を除き、外科手術は行われません。ただし、がんがリンパ節に転移した場合は、切除手術を行うのが一般的。耳後部から鎖骨上までのリンパ節と、その周辺組織を切除します。放射線治療も手術と並行して行い、再発や進行を防ぎます。
最近では、リンパ節に転移した場合だけ、切除手術を行うことが多いようです。喉頭を一部でも切除すると自然な声が出せなくなることが多く、全て摘出すると声帯がなくなり、声そのものが出せなくなってしまうため、簡単には切除手術を選択しません。上咽頭には聴覚や視覚を司る神経が多くあるので、喉頭部自体の手術は避けられることが多いのです。
がん細胞が血液やリンパ液を通して肺にたどりつき、増殖すると肺がんとなります。肺は血液へ酸素を渡す役目があるため、血液が集まる場所です。そのため、喉頭で発症したがんがんも肺へ転移してしまうのです。
転移性の肺がんかどうかの検査は、淡の採取という簡単におこなえるものもあれば、開胸手術が必要なものもあります。
転移性の肺がんの治療は、元になったがんにより変わるのが特徴です。元のがんが放射線に弱ければ放射線治療、抗がん剤が効くのであれば抗がん剤治療という風になります。
口腔とひとくちにいっても、舌・歯肉・口底・頬の粘膜・上あご・口蓋などさまざまな部位があります。セルフチェックしやすい箇所のため、毎日のはみがきついでに口の中を確認するクセをつけておくと良いでしょう。虫歯の放置や合わない入れ歯を使用しつづけたりすると、歯や歯茎に刺激を与え続けることになり、がんが悪化する可能性があります。
早期に発見できれば5年生存率は90%以上ですが、毎年3,000人が亡くなっていることを考えると、つい見逃してしまう部位でもあるため注意が必要です。
転移性の場合に用いられるのは、分子標的治療や遺伝子治療です。再発や転移したがん細胞は化学療法への抵抗性を持っている可能性が高いため、それ以外の方法が提案されます。その他のがん治療方法と併用したり、別の方法が用いられることもあるでしょう。
喉頭がんは部位によっては転移しにくいものもありますが、近い部位の頸部リンパ節や口腔、主要な臓器である肺などに転移してしまうものもあります。一度良くなっても、再発や転移の不安は残るでしょう。医療機関の力だけでなく、自身の免疫力を高めておくのも、再発や転移を防ぐのに有効です。
喉頭蓋(こうとうがい:食べ物が気管に入るのを防ぐ器官)や仮声帯(かせいたい:喉頭蓋の下にあるヒダ)などにできるがんです。声門上がんは首のリンパ節に転移しやすいため、特に首のしこりが初期症状として現れます。また、のどに異物があるように感じる一方、声に異常が現れにくいのも特徴です。その他にもかゆみや血たん(血の混じった痰)が出るといった症状が見られます。まれに、食道がんや口腔がんを同時に発症するケースもあるようです。
喉頭がんの中で最も発生数が多く、全体の60~70%を占めています。声帯にがんができる特性上、初期の段階で患者の半数以上に声のかすれやしわがれ声などの症状が現れることが多いようです。声門がんに限らず、喉頭がんは複数の検査で発見できます。例えば、喉頭鏡(小さな鏡のついた器具)を口の奥に入れる喉頭鏡検査や内視鏡検査・喉頭ファイバースコープ検査で発見が可能です。
声帯の下にできるがんで、喉頭がんの中で最も症例が少ないのが特徴です。初期症状が軽く自覚しづらいため、進行するまで分からない人が多いのが難点。気管支上にできる腫瘍が大きくなると、息苦しさを感じるようになります。
がんが進行すると、喉頭の一部である声帯への影響も免れません。そうなると発声機能に影響が出るため、できるだけ声帯を残す方向で治療を行います。初期であれば、放射線治療と薬物療法で対応するのが一般的です。放射線治療だけで対応する場合と、薬物療法・放射線治療を併用する場合があります。後者は前者と比べて副作用が起こる可能性があるため、放射線治療を休止するケースもあるようです。副作用は皮膚や喉頭に炎症の発生、嚥下機能の低下などが見られます。
がんが進行している、放射線治療が難しい部位にがんがある場合は摘出手術で対応します。
手術は喉頭全摘出手術と喉頭部分摘出手術の2つ。リンパ節にがんが転移している場合は、頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)でリンパ節も切除しなければいけません。全摘手術後は気管が鼻や口に繋がらなくなるので、手術前のように鼻や口での呼吸ができなくなります。そのため、首の付け根に穴を開けて空気の通り道を確保するのです。結果として声は出せなくなりますが、食道発声で食道から声を出せるようになります。
全摘出手術で声帯を切除した場合、手術前と同じような方法では声は出せません。ただし、空気を食道内に取り込むことで声を出す「食道発声」ができます。
食道発声とは食道内に取り込んだ空気を逆流させ、食道入り口にあるヒダを振るわせて音を出す方法です。感覚としては、ゲップに近いと言われています。また食道再建手術を受けることで、空気を取り込みやすくなるそうです。
空気を食道に取り込むには呑み込み法・注入法・吸引法の3つがあります。
食べ物や飲み物を飲み込む時のように、空気を取り込む方法です。呑み込み法で空気を取り込む際は、どうしても一時的に呼吸を止めなければいけません。呼吸のたびに口を閉じなければならないため、発声するごとに時間がかかり不自然さを感じます。
どれほどの期間で取得できるかは人によりますが、最初は上手くできない人がほとんどです。ただ、お茶のみ法を使うことで、空気を取り込むコツをつかみやすくなります。お茶のみ法とはその名の通り、お茶を飲みながら空気も一緒に取り込む練習方法のことです。最初はお茶のみ法で空気を飲み込むコツを覚えるのが良いでしょう。
呑み込み法と同じように、口から取り込んだ空気を食道内へ押し込んで発声します。違いは舌の根を使用することです。舌の根を使って空気を押し込むため、呑み込み法よりも早く空気が入ります。しかし、素早くやろうとすると雑音が出ることがあるので練習が必要です。
口・鼻・首もとに開けた気管孔から同時に空気を入れる方法です。腹式呼吸ができるとやりやすくなります。腹式呼吸によって食道が広がるため、空気が吸引しやすくなるからです。3つの方法の中では最も自然な声を出しやすく、上達すれば注入法と合わせて行うことができます。
食道発声だけでなく、器械を使うことでも発声は可能です。電気喉頭と呼ばれる方法で、円筒型の電気式人工喉頭をのどに当てて声を出します。スイッチを押すだけのシンプルタイプや疑問形を表現できる高機能型など、種類が豊富です。
自力で声を出す食道発声は気管孔を痛めやすく、発声をしたらはこまめに休憩を入れなければいけません。特に高齢者が長時間話し続けるのは難しいため、発声を行うなら電気喉頭がおすすめです。電気喉頭は日本で生産されており、価格は7~9万円ほど。日常生活用具として扱われるため、市町村長に申請すれば地方自治体から補助金がもらえます。購入の際は、一度地方自治体に相談してみると良いでしょう。
電気喉頭のデメリットは、音に高低差を付けづらいためロボットのような声になりやすいことです。また、故障したり紛失したりする可能性もないとは言えないので、保管場所や故障時の相談先をあらかじめ決めておきましょう。
がんに立ち向かう上で、もっとも注意したい「再発や転移」。たとえ、医師による適切な処置を受けていたとしても再発・転移の可能性はある、ということをわきまえておかなければなりません。
そのため、医療機関のみに頼るのではなく、私たちができる代替医療も率先しておこない「がんの予防線」を何重にも張り巡らせることが、がんとたたかっていく上で極めて重要となってきます。
漢方や鍼灸、アロマ・マッサージ、健康食品、サプリなど、さまざまな代替医療が存在する中で、「グルタチオンS-トランスフェラーゼ」をいかに活発化させるかが、がん再発・転移予防のキーポイントとされています。
グルタチオンS-トランスフェラーゼとは、体内で働く解毒酵素のひとつ。この酵素を活性化させる野菜として、わさびが注目を浴びています。
わさびに含まれる成分「ワサビスルフィニル(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチイオシアネート)」は、このグルタチオンS-トランスフェラーゼを活性化させるとして、論文でも発表されました。
このほかにも、ワサビスルフィニルには、活性酸素を抑える、ピロリ菌などの細菌の増殖を抑制、血流の促進や血栓予防、免疫力向上、といったさまざな効果も。
また、がん細胞の増殖を抑制し、転移を防ぐといった効果も確認されているため、がんの再発・転移とたたかう方はもちろん、すでに転移してしまったという方にも、ぜひ摂取して欲しい成分なのです。
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