腎臓がん

腎臓

腎臓がんには様々な種類があり、一言でくくれるものではありません。

腎臓の主な機能は血液をろ過して余分なものを尿として外に出すことですが、それ以外にも非常に高度な機能を持つ臓器です。そのため、そこにできる「がん」も多様なものになります。ここでは腎臓がんの治療法や転移の特徴について紹介します。

腎臓がんの基礎知識と転移の特徴

腎臓がんも他のがんと同じように症状が出た時にはもう初期とは言えません。主な症状は「血尿」が出ることです。尿に血が混じっていることが目ではっきりと確認できる「肉眼的血尿」と、尿を顕微鏡で検査して赤血球が混じっている「顕微鏡的血尿」の2種類があります。いずれにしても血尿が出た場合は、危険信号としてすぐに精密検査しなければなりません。

腎臓がんの状態は1期~4期に分けられます。がんが腎臓内にとどまっている状態を1~2期、腎臓の外膜を越えて拡がっている状態を3期、肺や肝臓などに転移している状態を4期と言います。腎臓がんが一番転移しやすいのは肺です。これは腎臓からの血液が心臓に戻った後、すぐに肺動脈を通って肺に行くため。骨にも転移しやすく、肺に転移せずにいきなり骨に転移する場合もあるようです。[注1]

腎臓がんから転移しやすい臓器とその症状

腎臓がんが転移しやすい臓器は肺と骨。肺に転移した場合、咳や血痰、呼吸困難などの症状が現れます。骨に転移した場合はズキズキとした痛みやしびれ、病的骨折などの症状が出るのが特徴です。

肺転移

腎臓の静脈血はまず心臓に戻りますが、それからすぐに肺に行きます。がん細胞はしばしばがんから剥がれて血管に入り込み、血液とともに体内を移動。腎臓がんの場合は、血液の経路からして肺に転移しやすいのです。転移したがんを「転移性がん」と呼びますが、肺に転移した場合は「転移性肺がん」ということになります。

肺へ転移した場合、様々な様相を呈すことも。肺に一つのかたまりができたり、無数のかたまりができたり、胸水がたまったりします。これを発見するには、胸部エックス線検査、胸部CT検査、胸部MRI検査、PET検査、腫瘍マーカーといった検査を行います。[注2]

肺転移の主な治療法

転移性肺がんの治療法は、もとの腎臓がんの種類によって決められます。抗がん剤治療が効くがんなら転移した肺がんにも抗がん剤治療を行い、抗がん剤が効かない種類のがんなら手術や放射線治療を実施。治療の際は、肺の他に肝臓・脳・骨にも転移がないかを詳しく検査してから治療を開始します。

特に手術の場合は、もとの腎臓がんは現在再発していないか、他への転移がないか、患者さんに手術に耐えられるだけの体力があるか、という点が実施するか否かのポイント。いずれにしても、転移性肺がんの治療はもとの腎臓がんの種類や進行速度などタイプによって左右されます。

骨転移

腎臓がんの特徴は、骨転移によって骨が溶けてしまうということ。このため、常に骨折のリスクがあります。転移するのは体幹部分がほとんどで、肘や膝から先に転移することはあまりありません。脊椎に転移することも多いため、体の麻痺を警戒する必要があります。検査はCT画像を使いますが、骨が溶けていることが多いため発見は比較的容易。MRI検査も転移を調べるには有用となります。

ただし、すべて医者任せにするのではなく、骨の痛みや異常に気づいたら、すぐに医者に診てもらうという姿勢が大切。異変の場所があらかじめ特定できていれば、すぐに発見できます。

骨転移の主な治療法

骨に転移した際、治療の第一選択は多くの場合、放射線治療になります。ただ、再発の関係などで治療するタイミングが難しいことがほとんど。骨折や麻痺のリスクがもともと高いうえに、治療が早すぎると再発の恐れが高くなるからです。

手術しなければならない場合には、出血の問題があります。これは、がん自体が周囲に血管を発達させようとする性質があるうえに、腎臓がんはその中でも特に血流が多くなるがんだからです。このため、手術は出血量が多くなり危険を伴います。昨今では、それに代わるものとして薬物治療が注目を集めています。

がんが転移すると怖い場所について>>

腎細胞がんとは

いわゆる「腎臓がん」を意味するのが、腎細胞がんです。成人の場合は主に2種類あり、8割を占めるのが尿をつくる場所である「腎実質」にできるがん。もう1つが、尿路の通路・腎盂にできるがんです。

腎細胞がんは1/4の可能性で転移が見つかるとされています。転移先はリンパ、骨など。腎臓は血流を動かす要因があるため、腎臓にがん細胞ができると血流に乗り移動していくことがあります。罹患率はがん全体の1%ですが、喫煙・高脂肪食などの生活習慣が引き金となるため、急増しているがんでもあります。

転移が発見されると完治が困難な腎細胞がんは。そのため、転移を防ぐためにも早期発見をすることが重要です。

腎細胞がんの主な症状

直径5cmに満たない腎細胞がんであれば、ほぼ自覚症状はありません。そのため他の症状での受診や定期検診でたまたま見つかることがほとんどです。

腎細胞がん患者の半数ほどに見られるのが、血尿です。はじめは見た目にはわからず痛みも伴わない「無症状血尿」の場合が多く、数日後に明らかにわかる血尿が出たとしてもすぐに症状が治まってしまうため、病院受診まで至らないケースも多々あります。血尿を繰り返しながら進行していくため、血尿の頻度が高い方は医療機関を早期に受診しましょう。進行すると脇腹の痛みや尿管に血がつまることによる激痛などに繋がります。

また全身症状として、だるさや発熱、体重の変化なども見られる場合はあります。

腎細胞がんの罹患リスクが高い方

腎細胞がんは高齢の年代、60~70歳以上に患者が増えています。がんになる大きな原因は以下の3つ。

  1. 肥満
  2. 高血圧
  3. 喫煙

いずれも生活習慣に起因します。また透析を長期間を受けており委縮腎が確認される人の場合は、嚢胞内に腎細胞がんが発生するケースがまれにあるようです。

がんの再発や転移とたたかうには

腎臓がんと向き合っていく上で、考えなければいけない「再発や転移」。病院で適切な治療を受けていても、再発・転移の可能性はあるということを忘れてはいけません。

そのため、病院に頼りっぱなしにせずに、自分自身でできることを模索して行動していくことが、がんとたたかううえで非常に重要となってきます。漢方やサプリ、健康食品などの体の内面からの治療や、アロママッサージや、ヨガといった精神的な治療など代替医療は多数存在します。数ある代替医療の中で、発がん性物質の活動を弱める「グルタチオンS-トランスフェラーゼ」と呼ばれる酵素をいかに活発化させるかが、がんの再発や転移を予防するポイントです。

グルタチオンS-トランスフェラーゼを活性化させる野菜として、現在わさびが注目を浴びています。わさびの成分「ワサビスルフィニル」が、グルタチオンS-トランスフェラーゼを活性化させたという、論文が発表されています。

このほかにもワサビスルフィニルは、活性酸素の抑制やピロリ菌をはじめとする細菌の増殖抑制、血流の促進や血栓予防、免疫力向上などさまざまな効果が期待できます。

がん細胞の増殖抑制や転移を防ぐといった効果も確認されているので、がんの再発・転移と闘っている方や不安を抱えている方に、ぜひ取り入れて欲しい成分です。

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