代替医療の併用

ひまわり手術や薬物療法、放射線治療などのがんの標準治療の他に、これらの治療効果を高めるために、健康食品やサプリメントを利用したり、鍼灸やマッサージなどの施術を受けるなど、代替医療や民間療法を取り入れている方が多いようです。

ここでは、病院での治療と代替医療を併用する方法について、最新情報や上手に利用する方法について解説していきます。

漢方や鍼灸などの治療や施術と併用する方法

鍼灸

がんの再発や転移予防に、病状の進行を抑制するために、代替医療として鍼灸の治療や漢方の処方を受ける方法があります。

最近では、漢方外来を設けている病院もあるほど漢方の有効性は認識されつつありますが、患者さんそれぞれの体質や体調に合わせて異なった処方が行なわれるため、『この薬が確実にがんに効く!』という実証が取りにくいのが現状です。

しかし、代替医療と分類されるものの中では、効果が出ている症例が多くなってきているようです。例えば、「十全大補湯」という処方で、肝硬変患者から肝細胞がんの発生を抑える効果があると報告されているそうですし、進行性の胃がん患者の予後が改善されたとの報告もあります。

鍼灸の場合は、腫瘍を縮小させたり減少させたりといったがん治療の手段というよりは身体的および精神的な痛みや苦痛を和らげたり、抗がん剤の副作用の吐き気や嘔吐を軽減させるといった、補完的な作用がメイン。標準治療の作用を高めたり、ストレスや身体症状を緩和するための方法としては、かなり有用だとされています。

アロマセラピー・マッサージと併用する方法

エッセンシャルオイルを使って、香りを楽しんだりマッサージに使ったりといった、アロマセラピーは、特に精神症状を改善する効果が期待できます。痛みや不快などの体の症状を和らげ、ストレス緩和やリラックスさせる作用もあります。

エッセンシャルオイルは、単に香りを楽しむだけではなく、お風呂に入れたりマッサージに使用することで、皮膚や気道などの粘膜から吸収され、血流に乗って神経や内分泌系などの全身作用を得ることもできるそうです。

がん細胞の増殖には、ストレスによる免疫力の低下が関係していると言われていますから、標準治療とアロマセラピーを併用することでがんの抑制効果もあり、生活のクオリティを保つことにもつながります。

健康食品・サプリメントと併用する方法

補完代替医療の中でも実際に利用している方が多いのは、健康食品やサプリメントではないでしょうか。

健康な身体を保つために効果があるとされる食品や成分は実にさまざま。中でもがん細胞の抑制効果があると言われるものは、アガリクスやプロポリス、フコイダンなど数種類あります。

さらに最近では、ワサビに含まれる成分強い抗酸化作用があり、がんの転移予防に効果があるとして、話題となっています。

健康食品やサプリは、錠剤やドリンクなどに加工されているものが多く、毎日規定量を摂取しやすく工夫されているのが特徴。これらの成分は単に食事から摂取しようとしても難しい場合が多いので、飲みやすく作られているサプリは、ほかの治療を受けながらでも手軽に続けることができて便利です。

ただし、健康食品やサプリを利用する際には、主治医に現在の治療と併用して問題ないかどうかの確認を取る必要があります。

がん転移に対する代替医療の併用の効果

がん転移に対する漢方や鍼灸の併用について

漢方は、あくまでも体の不調を整え、活力を取り戻すためのものです。外科的な手術と違って物理的にがん細胞を取り除いたり、放射線療法と違ってがん細胞を攻撃したりするわけではありません。そのため、漢方だけでがんをどうにかするというのは基本的に実現不可能です。初期のがん患者であっても、病院では西洋医療との併用を進められます。

では、どうして漢方ががんへの対処に利用されているのかというと、影響が穏やかな一方重大な副作用も出づらい漢方が、副作用への対策によいとされているからです。一般的にがんへの対応として利用されているがんの3大療法は、エビデンスが揃っている一方で体への負担、副作用も大きくなってしまいます。

どうしても健康な細胞まで傷ついてしまう関係上、施術を受ける前にストレスからナーバスになってしまう場合もあれば、施術を受けた後だと体力や気力が低下してしまうのです。

その点、漢方は体の冷えや食欲不振といったさまざまな不調に対処できるとされています。西洋医学につきものである副作用や体の負担に対処するため、がんを専門に扱う病院でも漢方を処方する科が設けられているほど、実はがん診療の世界では漢方の扱いがメジャーなのです。

とはいえ、漢方というと、なんとなく怪しげなイメージを持ってしまう人もいるでしょう。しかし実際には、漢方の世界でもこれまで経験だけに頼っていた漢方処方後の影響をデータ化する動きが進んでおり、特定の漢方ががんの転移を抑制したという研究も発表されています。[注1]

また、転移に対するものではありませんが、鍼灸についても痛みや疲労感、吐き気といった副作用に対する影響は世界各国で研究されているテーマです。複数の研究で、これらの副作用に対して鍼灸を行う意味はあるのではないかという結果が出ています。[注2]

漢方は保険適用で安価に利用できる

《画像の説明》

漢方のよいところとして、健康保険を利用できる点も見逃せません。通常、がんへの対処にはお金がかかります。

患者の金銭的な負担が軽いものではない一方で、自分や家族の体をどうにかしたいという思いを悪用して高額な商品を購入させる悪徳業者は少なくありません。

その点、東洋医学では100種類以上の漢方薬が保険適用できる商品として認められているため、経済的な負担をあまり考えることなくがんへの対処に漢方を加えることができます。

がんになった人、転移を心配している人が、少しでも不安を軽減するためにできる限りのことをしたいと考えるのは当然の心理です。病院で処方してもらう漢方の場合、本人の状態に合わせて複数の漢方薬を出してもらえるため、漢方について自分で勉強しなくてよいというメリットもあります。

精神的な影響を期待して利用する場合も

がんに対する西洋医学の影響度は、人それぞれ。人によって、また、がんのステージによっては3大療法を利用しても変化が見られない場合もあります。そんなとき、重大な副作用の少ない漢方や鍼灸で、「まだできることがある」ことを伝えられると、延命等を行う活力の源になる可能性があるのです。

また、漢方等を併用することによって手術や放射線療法の痛み、疲労感を軽減できれば、QOLの向上にも役立ちます。

がん転移に対するアロマセラピー・マッサージの併用について

がん転移そのものに対して、アロマセラピーやマッサージができることはありません。しかし、がんの症状やがんに対する施術によって起きる体の不調をメンテナンスするという意味では、アロマセラピーやマッサージも有用です。

実際に、国立がん研究センターでも、緩和ケアの一環としてアロマセラピーやマッサージといった非薬物療法が紹介されています。[注3]

また、アロマセラピーやマッサージは、さほど費用をかけずに家族が患者に対して施せるというメリットも重要です。特に終末期のがん患者に対しては、看護師や家族、本人にとっても「なにもできない」ことが大きなストレスになりがち。しかし、たとえアロマセラピーやマッサージであっても、受けた本人が心地よいと感じるものであれば、患者もその周囲も穏やかに過ごせるようになります。

がん転移に対する健康食品・サプリメントの併用について

健康食品やサプリメントも、がんそのものによい影響を与える可能性は低いです。ただ、国立がん研究センターで紹介されているハーバード大学の研究によると、食事療法やサプリメントの利用について多くの種類が「容認して経過観察(科学的根拠はともかく、安全性は高い)」にランク付けされています。[注4]

一部には併用すると悪影響のあるサプリメントもあるため注意は必要ですが、医師と相談した上で、健康を維持するために健康食品やサプリメント等を利用するというのは、怪しげながん関連商品を利用するよりも現実的な選択肢です。

[注1]Department of Pathogenic Biochemistry, Institute of Natural Medicine, Toyama Medical and Pharmaceutical University:A Kampo medicine "Juzen-taiho-to"--prevention of malignant progression and metastasis of tumor cells and the mechanism of action.[英文]

[注2]がん情報サイト:鍼灸(PDQ®)

[注3]国立がん研究センター がん情報サービス:がんの療養とリハビリテーション

[注4]厚生労働省eJIM「海外の情報」

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