軟部肉腫は発生頻度が少なく病気の種類が多いため、治療には専門の知識が必要だと言われています。
他のがんと比べて20台、30代の若い患者さんが多く、痛みもないことから悪性腫瘍だと気付かずに放置されていることも多いそうです。
ここでは、その基礎知識や転移の特徴、代表的な症状など、わかりやすく解説しています。
軟部肉腫は、体の軟部組織という部位に発生する悪性の腫瘍です。軟部組織とは筋肉や腱、脂肪、血管、神経、じん帯となど、体のやわらかい部位のことです。
体のどこにでも発生する病気ですが、痛みがないために発見が遅れたり、良性腫瘍と間違えられたりすることもあります。神経の近くに発生すると麻痺などの症状をともないますが、深部にできた場合は大きくならないと気付けず、発見が遅れてしまうケースも報告されています。
痛みはなくても、体のどこかにしこりや違和感があるときなどは注意した方が良いでしょう。
腫瘍の悪性度合はさまざまですが、腫瘍が大きくなり、血液の流れにのって転移していきます。肺に転移することが多いので、定期的に胸部CTが行われます。[注1]
全身に発生するがんですが、60%は四肢に発生。そのうち1/3が下肢に発生します。進行すると遠隔転移することもあり、なかでも転移する可能性が高いのが肺です。
2012年の全国軟部腫瘍登録の統計によると、日本での軟部肉腫の罹患率は10万人あたり約3人。1年で1,540名が診断や治療を受けています。他のがんと比べると罹患率は少なく、軟部腫瘍・軟部肉腫は「希少がん」に分類されています。[注2]
軟部腫瘍の検査・診断では、特殊なX線を用いるCR検査や超音波検査を行います。 また無痛のしこりの大きさや位置、肺転移の有無を確認するために画像検査を実施。X線CT検査、MRI検査が有効とされています。良性か悪性(軟部腫瘍)か判断が難しい場合には、PET-CT検査を行います。PET-CT検査とは放射性薬剤を投与した後に、全身を特殊なカメラで撮影し、画像を分析することでブドウ糖代謝をはじめとした体の働きに異常がないか調べるもの。全身のがんについて、腫瘍の大きさや場所を一気に調べられる検査方法です。[注3]
しこりが大きくない場合には針を刺して採取した組織を使い、病理組織学的検査を実施することで確定診断を得られます。軟部肉腫はまれに遺伝子異常も見られるため、診断をより正確なものにするため、遺伝子検査も合わせて行うことも。また針を使用する生検だけでは確定診断が難しい場合は、腫瘍を切除する手術を行い、摘出後に判断します。[注4]
軟部腫瘍は肺に転移することが多くあります。そのほかに皮膚や骨など、多様な場所に転移する可能性もあるでしょう。そのためPETや骨シンチなど、考えられる検査を行っていくことが必要です。軟部肉腫の場合は、痛みなどへのケアを目的とした薬物投与が考えられます。症状にあわせた治療が必要です。
希少がんのひとつでもあるため、軟部肉腫の診断は難しく、診断の遅れや正しく診断されずに再発を繰り返す可能性もあります。検査・診断は可能な限り早期の内に、専門施設で受けるのが良いでしょう。
最大の特徴は、痛みを伴わないしこり。皮膚の近くにしこりが出来た場合は触った時にわかりますが、皮膚の腫れが大きくなってから気づくケースも少なくありません。神経の近辺に腫瘍ができると、圧迫されてしびれ・痛みなどの症状がでる可能性も。しこりが大きくなる速度には個人差がありますが、悪性である軟部肉腫は成長スピードが速く、特に直径3~5cm以上の大きさを持つ硬いしこりには注意が必要です。[注5]
悪性の軟部腫瘍である軟部肉腫は30種類以上あります。なかでも発生頻度が高いのが、悪性繊維性組織球種(26%)です。多くが大腿部にでき、高齢者によく見られます。2つめに発生頻度が高いのが、40~50歳代に多い脂肪肉腫(23%)です。軟部肉腫のうち約半数を、この2種類が占めています。その他にも、滑膜肉腫(10%)、横紋筋肉腫(7%)と続きます。[注6]
軟部腫瘍は、若い人に多い円形細胞肉腫と40代~高齢者が発症する非円形細胞肉腫とで治療法が変わってきます。円形細胞肉腫の場合は抗がん剤の効果が期待できるので、化学療法と手術をあわせた治療が必要です。非円形細胞肉腫の治療方法は腫瘍を完全に切除する必要があるため、手術が主となります。良性の腫瘍の場合でも、手術で神経を壊さないよう気をつけながら切除を実施。ただし骨や神経、血管を巻き込んでいる腫瘍の場合は、一緒に切除する必要があります。その場合は切除手術の後に骨・神経・血管の移植、血管であれば人工血管の置き換えも必要です。
切断術・離断術を行なうことで、腫瘍のある部位を切除する場合もあります。ただし90%ほどは切断の必要がないようです。[注6]
軟部肉腫が進行すると血液に乗ってほかの臓器に転移してしまうことがあります。特に多いのは肺への転移。その症状を解説していきます。[注2]
軟部肉腫から肺へと転移するケースは非常に多く、軟部肉腫患者のうち20%以上もの転移報告があるそうです。そして軟部肉腫からの転移はほとんどが肺であるため、患者には定期的な胸部CT検査が行われます。
肺は生きていくために必要な空気を取り込むための臓器なので、がんが肺に転移すると命の危険があります。そうならないためにも、早期の治療や定期的な診断が望まれます。
肺転移が見られた場合には病巣の切除手術をおこなうのが一般的で、可能であれば肺以外の転移巣も切除することが推奨されています。軟部肉腫の死亡患者のうち、肺移転が直接の死因となったケースが非常に多いという報告もあることから、この治療法が有効であるとされているためです。
転移した箇所が多く切除手術が困難な場合には、化学療法によって転移箇所を減らしてから手術を行う場合もあります。また、肺切除後に肺転移が再発した場合にも、可能であれば再切除をしたほうが良いとされています。
>>がんの転移・再発を防ぐにはどのような治療を行うべき?転移・再発防止策を見る
転移の可能性も考えられる場合、1年ほど化学療法を行います。[注6]
腫瘍を切除するための手術が欠かせない軟部腫瘍(軟部肉腫)ですが、転移の可能性が低い場合、手術によって90%が寛解を期待できます。また転移しやすい軟部腫瘍でも60%が寛解を期待できるため、早期の検査・治療・手術が重要ながんだと考えられます。[注6]
がんに立ち向かう上で、もっとも注意したい「再発や転移」。たとえ、医師による適切な処置を受けていたとしても再発・転移の可能性はある、ということをわきまえておかなければなりません。
そのため、医療機関のみに頼るのではなく、私たちができる代替医療も率先しておこない「がんの予防線」を何重にも張り巡らせることが、がんとたたかっていく上で極めて重要となってきます。
漢方や鍼灸、アロマ・マッサージ、健康食品、サプリなど、さまざまな代替医療が存在する中で、「グルタチオンS-トランスフェラーゼ」をいかに活発化させるかが、がん再発・転移予防のキーポイントとされています。
グルタチオンS-トランスフェラーゼは、体内で解毒代謝があることが明らかになりました。この酵素を活性化させる野菜として、わさびが注目を浴びています。[注3]
わさびに含まれる成分「ワサビスルフィニル(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチイオシアネート)」は、このグルタチオンS-トランスフェラーゼを活性化させるとして、論文でも発表されました。
実際に、わさびを使った解毒酵素誘導を調べる研究を行なったところ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ等の解毒代謝がある遺伝子を誘発することが明らかに。動物実験においても、強力ながん効果を示していることが研究結果から分かっています。[注3]
ほかにも、ワサビスルフィニルには、活性酸素を抑える働きがあります。ピロリ菌などの細菌の増殖を抑制する働きもあるのが特徴です。活性酵素やピロリ菌を抑制することで、血流をサラサラにして血栓の予防、免疫力の向上といったさまざな効果も期待できます。活性酵素が増えると、老化の進行だけでなく、がんや糖尿病も誘発。紫外線やストレスによって活性酵素は増幅するため、なるべく抑制できる抗酸化食品を積極的に摂ることが大切です。活性酵素を抑えてくれるワサビスルフィニルが多く含まれているわさび。抗酸化のために積極的に摂取したい食品といえます。
また、がん細胞の増殖を抑制し、転移を防ぐといった効果も確認されているため、がんの再発・転移とたたかう方はもちろん、すでに転移してしまったという方にも、ぜひ摂取して欲しい成分なのです。
>>がんの代替医療の最前線・注目の成分ワサビスルフィニルとは?
最近の軟部肉腫の転移に関連するニュースを紹介します。
18歳以上の軟部肉腫の患者を対象とした実験では、キイトルーダという免疫機能を正常にはたらかせる新薬200mgを3周ごとに分けて注入したところ、軟部肉腫患者の18%に、がんが消失した反応が見られたとのこと。他の症例や脂肪肉腫、軟膏肉腫も同じ結果になりました。手術や放射線治療ができないほど進行したがんや希少ながんでも、免疫機能を正常にはたらかせる作用があるとのこと。従来のがん治療であれば、体内の免疫によってがん細胞にアプローチをかける前にブロックされてしまいます。一方、キイトルーダは免疫のブロックを受けることなく直接がん細胞にアプローチをかけることが研究結果から分かりました。よって、がんの削減に高い効果があることが研究結果から明らかになり、新しい代替治療として実証されています。(がん情報サイト「オンコロ」/2018年1月23日)[注7]
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