転移しやすい場所

椅子と花がんの遠隔転移は全身のあらゆる場所で発生しますが、特に転移巣ができやすい臓器や器官があります。

それらの臓器は、原発がんの治療後も注意して検査などを行わなければなりませんから、ぜひチェックしておきましょう。

がんの転移先になりやすい臓器とは

がんの転移には2つのパターンがあります。ひとつは、腫瘍が元々の臓器から飛び散って周囲の臓器や器官に転移する場合。もうひとつは、腫瘍が血管などに入り込んで血流やリンパの流れに乗り、全身に転移する場合です。

原発がんの周辺にある臓器やリンパ節、器官などの転移は注意して検査を行いますし、必要な場合は原発巣と共に切除してしまうことも多いもの。

しかし、離れた場所への遠隔転移は、よほど気を付けておかないと発見が遅れてしまいます。そこで、遠隔転移が発生しやすいとされる臓器にポイントを絞って、定期的にチェックしておく必要があるのです。

全身の器官の中でも、遠隔転移が起きやすい臓器というのが決まっているそうで、大抵は『全身から血液が集まりやすい場所』や、『微細な血管が多い場所』というような特徴があります。

転移先となりやすい代表的な臓器は、肝臓や肺、脳など。いずれも、全身から血液が集まり、細かな毛細血管が多い臓器や器官です。血流やリンパに乗って流れ着き、定着しやすい場所ということになるでしょう。[注1][注2]

転移しやすい臓器とその特徴

転移先となりやすい臓器について、特徴や転移した場合の症状などをまとめて紹介しましょう。

肝臓

肝臓に発生するがんの実に9割がほかの臓器から転移してきた、転移性肝がんであると言われています。肝臓へ転移してくるがんの代表的なものは、胃がんや大腸がん、胆管がんやすい臓がんなどの消化器系がん。ほかに、乳がんや肺がん、腎がん、子宮や卵巣がんからの転移も多いそうです。

肝転移をできるだけ早く見つけるために、腫瘍マーカーと超音波検査やMRI、CTなどの画像診断を定期的に行うことが大切です。

大腸がんから肝臓に転移したがんには外科的切除が最も有効とされており、できる限り切除手術が選択されます。切除が可能かどうかは、精密検査でがんの個数や大きさ、位置、切除後に残る予定の肝臓の量・働きなどによって判断されます。

転移性肝がんの個数が多い・大きい・肝臓以外の臓器にも転移している場合では、抗がん剤による全身化学療法を実施。抗がん剤の開発は日進月歩で進んでいるため、はじめは切除手術が困難であった患者さんでも抗がん剤の効果によってがんが小さくなり、切除可能になる方も増えているそうです。

切除手術と抗がん剤の組み合わせのタイミングが重要で、クリニックによってはチームでの集学的治療(手術・抗がん剤治療・放射線治療など)に取り組んでいるところもあります。[注3]

肺は全身の血液が通るフィルターのような役割を果たしている臓器であり、血流にのってがん細胞が流れ着きやすい場所でもあります。ですから、全身からがんが転移する可能性が高いのです。

転移性肺がんの症状

特に肺だけに転移が起こる症例が多いのは、大腸がん、腎臓がん、骨肉腫、乳がんなど。原発がんの性質によって、転移の仕方や症状も少し違っているそうです。大腸がんや胃がんは、肺の付け根の部分の肺門への転移が多く、進行すると太い気管支にも浸潤して肺炎や呼吸困難を起こすことがあります。しかし、骨肉腫や甲状腺がんなどは、肺の外側にある末梢部分に転移することが多いので、大きな症状が出にくく発見が遅れてしまいます。

転移性肺がんの診断

転移先から症状が出る前に、胸部X線や胸部CT検査などを定期的に受けておく必要があります。胸部X線写真だと直径1~2cmくらいの陰影が見られる場合が多く、胸部CT写真では直径3~4mmほどの大きさのものからの発見が可能です。そのため、胸部X線写真でがんの数が1~2つしかなくても、胸部CT写真を撮影すると10ほども存在する可能性が少なくありません。

大腸がんや乳がんなどの治療を受けた人の経過観察中に肺に影が確認された場合、特に複数の影が見られた場合は肺転移が強く疑われます。この場合は原発性肺がんのように診断は行わず、治療から始めることが一般的です。ただしこれまでにがんの治療歴がなく、偶然に肺転移が先に見つかるような場合もあります。

転移性肺がんの治療

多くの場合、転移性肺がんの陰影は原発性肺がんよりも形がシャープなので、医師はまず転移性肺がんを疑います。しかし、元のがんが分かっていないため顕微鏡を使った病理学的診断で元の臓器を特定しなければなりません。そこで診断を確定するために行われるのが、手術によるがんの一部の摘出です。

転移性肺がんの治療では、抗がん剤や分子標的治療薬などの治療が選択されます。これらの治療を行った後で肺にのみ数個程度の転移が残った場合は、手術や放射線療法、ラジオ波治療などで治療する場合も。例外的に肺にだけ転移が出現していて他の臓器に転移がなく、その数も3~4個くらいの場合は抗がん薬を使わずに、手術や放射線療法、ラジオ波治療といった局所治療のみを行うことがあります。

肺にだけ転移し、その数も数個程度という転移の形態が見られるがんは、大腸がん・骨肉腫・子宮がん・腎臓がん・乳がん、滑膜細胞肉腫・悪性線維組織肉腫・頭頸部がんなどです。

転移巣の周りの肺だけを切除する肺部分切除を、胸腔鏡補助下手術で行う場合がほとんどです。胸腔鏡補助下手術は、体に3箇所ほど穴を開けるだけで済みます。ただし、この方法で切除が可能な転移性肺がんは、大きさが3cm以下で肺の外側にあるがんに限られます。それより大きながんや肺の付け根にできたがんは、さらに広い範囲の肺切除が必要です。

転移性肺がんには、がんにだけ放射線を集めて周囲の組織に放射線の影響を残さないような定位集光照射が行われます。がんの直径が3cm以下で、数が3個くらいまでの場合に適している治療法です。[注4]

血流に乗ってほかの臓器から脳へ転移してきた腫瘍を、転移性脳腫瘍と言います。頻度が高いとされているのは肺がんで、脳腫瘍全国統計第12版によると転移性脳腫瘍の約半数は肺からの遠隔転移です。ほかに、乳がんや腎がん、直腸がんからの転移も多いとされています。

転移性脳腫瘍の症状

症状のひとつは、頭蓋内の圧の上昇による頭痛や嘔吐、意識障害です。一定の容積しかない頭蓋骨の中の脳に腫瘍という余分なものが生じ、腫瘍によって脳が腫れることで脳そのものの大きさが増して起こります。もうひとつは、脳腫瘍が周辺の脳組織を損傷することで起こる神経障害です。

転移性脳腫瘍の診断

検査は、造影剤を使用した頭部CTやMRIを使って行われます。小さな病巣も診断可能です。転移してきた脳腫瘍への治療は、腫瘍の大きさや数はもちろん、原発がんの治療の状況、ほかの臓器への転移の状況などを見ながら行います。一般的に、抗がん剤などの化学療法の効果が薄いとされているので、腫瘍摘出手術やガンマナイフなど定位放射線照射が行われるそうです。

転移性脳腫瘍の手術

また、転移性脳腫瘍の手術は患者さんの体力的・精神的負担が大きいため、適応は慎重でなくてはいけません。そのため、以下の手術適応を満たす必要があります。

  • 転移が単発性で全身状態が良い
  • 手術を行っても重篤な後遺症が残らない部位にある
  • 原発巣が十分にコントロールされており、脳転移の手術に影響が及ばない
  • 頭蓋外転移があっても、直接生命に影響がない

多発性で1つの腫瘍が大きく患者さんの生命危機に関わる可能性がある場合や、癌の進行状況から半年以上の生存が期待できない場合でも、全身状態が良好であれば手術摘出を行う場合があります。手術を行うことでQOLが改善し、たとえ3~4ヶ月でも良い状態での生活を送れる可能性が考えられるからです。もちろんこの場合でも、原発巣や他の部位の状態を十分考慮して手術を選択する必要があります。

転移性脳腫瘍の放射線治療

転移性脳腫瘍の治療では、放射線治療も重要な役割を果たしています。放射線治療の種類は、脳全体に照射する全脳照射や腫瘍部だけに多くの放射線を照射する定位放射線照射(ガンマナイフ・サイバーナイフ・ライナック)など。これまでに行われた臨床試験の結果により、単発の脳転移には手術および全脳照射が世界標準の治療法です。全脳照射は3週間かけて行われる治療ですが、病状によっては2週間に短縮される場合もあります。最近の試験結果で、単発性転移に全脳照射および定位放射線照射のほうが効果が優るとの報告も聞かれているようです。

定位放射線治療は大きな身体的負担がなく、短期間での治療が可能です。そのため、腫瘍の大きさが3cm以下で転移病巣が数個以内の場合に有力な治療法とされており、日本で定位放射線照射が選ばれる機会が増えています。特に脳転移が見られるのに手術が行えない場合や原発巣や他臓器で進行がある場合などで、治療期間が1日で済むというメリットがあり、しばしば選択されているそうです。しかし、定位的放射線療法も万能ではなく、照射後に脳浮腫・放射線壊死・腫瘍出血といった副作用がありますので、選ぶ際は医師に相談しましょう。

いずれにせよ、脳転移が見られる症例はかなり進行している場合が多く、病状によっては積極的な治療を行わず緩和ケアだけを行う例もあります。[注5]

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